良品計画は、「無印良品」初のロードサイド店舗を石川・野々市の明倫通り沿いに20日オープンする。金沢市街から車で20分ほどの距離で、北陸を貫く幹線道路の国道8号線からもすぐ。売り場面積は約2000平方メートルと北陸最大だ。同社は4月4日に、「MUJIホテル」を併設した世界旗艦店「無印良品 銀座」を出店したばかり。また、2018年3月には、大阪・堺に鮮魚や精肉も扱う“スーパーマーケット”業態をオープンするなど、この間、新しい形での出店を続けている。郊外ロードサイドへの出店は、「出店を模索する中で(都心ではなく)地方は今後非常に重要。幅広い品ぞろえの表現のため、商業施設内ではない単独店出店に向けてさまざまな可能性を追求する」(上原俊樹店長)という意図から。反応次第で、ロードサイド多店化の可能性もある。
店があるのは、地場の有力スーパー「アルビス」の店舗と同じ敷地。近くには「ユニクロ」や「ヤマダ電機」などの大型店が並ぶ。石川県産のスギ材や能登のヒバ、黒部ダムの流木を使ったという店舗は1フロアで、“特殊MD”と呼ぶ「イデー(IDEE)」「ファウンドMUJI」「MUJIラボ」以外の商品は全てを扱う。「全7000品目のうち、およそ6000品目がそろう」(広報担当者)という。
品ぞろえの注力ポイントは、同社がこの間強化している食品だ。購入頻度の高い食品をフックに、全体の売り上げ拡大につなげるというのが同社が食品を強化している理由。地元スーパーと組み、その敷地内に出店したのもその一環といえる。日々の生活に欠かせない食品を扱うスーパーと組むことで、地域住民の来店を促す。
18年秋に販売開始した冷凍食品も北陸地域で初めて扱っており、通常は冷凍什器2台での展開のところ、3台を導入して全51商品をラインアップ。また、カレーなどの料理キットのそばに「アルビス」のPBの食材や野菜などを並べて、両店の行き来にもつなげる。
食品以外も、“くらしの基本”となる商品が軸となる。看板商品でもある“足なり直角靴下”やオーガニック綿の下着、掃除用具、化粧水などを、価格や商品を解説した垂れ幕型のPOPとともに分かりやすく配置。こうしたMDや陳列手法は、銀座の世界旗艦店にも通じる。
都心の商業施設内にある店舗などに比べると、子ども服や玩具、マタニティー用ウエアの充実ぶりも目立つ。聞けば、「野々市は小学校のクラスが増えており、子育て世代が増えている地域」(上原店長)なのだという。店内には子どもが遊べるスペースが中庭を含めて作られており、授乳室もある。また、地域住民のコミュニケーションの場となるべく、ワークショップなどを行える「オープンMUJI」スペースも備え、今後トークイベントなどを積極的に仕掛けていく。野々市の見どころなどを紹介するマップも設置し、「地域住民のオアシス」のような場をめざす。