21世紀の最初の10年、女性はワーキングスタイルやライフスタイルではなく、女性ならではのスタイルを確立し始める時代だったように感じた。そんな中、2007年には資生堂の文化発信施設・House of SHISEIDOで「口紅のとき」展が開催された。このあたりから口紅は再び注目されたのである。09年には、さまざまなブランドで赤い口紅が発表。新しい時代が告げられたことで、口紅をもう一度手に取り、女性であることを楽しみながら、真に自由に生きてもいいのではないかと感じさせてくれた。平成における口紅の歴史は、すなわち女性の歴史であると思える。だが、改元した後の未来は、女性だけのものではなくなっているのかもしれない。
渡部玲:女性誌編集部と美容専門の編集プロダクションに勤めた後、独立。2004年からフリーランスの編集者・ライターとして雑誌やウェブなどの媒体を中心に活動。目下、朝晩のシートマスクを美容習慣にして肌状態の改善を目指している
【業界人の「平成プレイバック」】
ファッション・ビューティ業界の若手からベテランまで「平成時代に印象に残った出来事」とは?