ジュンは25日、福岡市に26日オープンする大型路面店「ビオトープ福岡(BIOTOP FUKUOKA)」を関係者に公開した。複合セレクトショップ業態であるビオトープは東京・白金台、大阪・南堀江に続く3店舗目。九州初となる同店は繁華街ではなく、地元市民のオアシスである広大な大濠公園と護国神社に隣接する。都会の喧騒から離れた環境の中で、ファッション、飲食、植栽などの多彩なコンテンツを提供する。
レストランだった3層の建物を改装・増築した438平方メートルの店舗は、ガラス窓に囲まれており、どのフロアも大濠公園の緑を借景とした開放感ある空間になっている。ジュンの「サタデーズ ニューヨークシティ(SATURDAYS NEW YORK CITY)」代官山店などを担当した建築家の大堀伸氏が設計した。
1階のカフェ&レストランは料理家の渡辺康啓氏が監修。イタリアンをベースにした料理は九州の地元野食材をふんだんに使う。カフェは静岡県沼津市の紅茶会社のテテリアと協業したオリジナルブレンドティや、季節の果物を贅沢に使ったパフェが目玉。ドリンクはテイクアウトもできる。
2階のファッション&ライフスタイルは、ジュングループの「ソフ(SOPH.)」のデザイナーで、福岡にも拠点を持つ清永浩文氏がアドバイザーとして携わった。国内外のハイブランドや新進気鋭のブランド、生活雑貨、ナチュラルコスメなど定評のある品ぞろえに加えて、福岡限定の商品を扱う常設スペースを設けた。オープン時には「ハイク(HYKE)」「アニエス・ベー(AGNES B)」「セヤ(SEYA)」「トースト(TOAST)」などとの別注品のほか、陶芸家・吉田直嗣氏が同店にちなんで製作した緑色の陶器などを販売する。
ビオトープの特徴でもあるボタニカルショップは白金台店と同じく造園家の齊藤太一氏が手がけた。グリーンだけでなく、ガーデニング用品、プランター、雑貨を総合的にそろえる。通りに面した場所にたくさんの種類のグリーンを置き、道ゆく人の足を止める。
3階の屋根裏部屋のようなラウンジや、板張りにしたルーフトップ(屋上テラス)も来店客に開放する。ここでドリンクや酒を飲んでくつろぐことを提案する。
同店は地下鉄駅から少し離れた場所にあり、福岡の商業地である天神や博多駅周辺ほどの通行量はない。ビオトープを統括する迫村岳ディレクターは「わざわざ訪れる立地だからこそ意味がある」と話す。「多くのお客さまがECに流れる中、リアル店舗は利便性とは別軸の価値を提供しなくてはならない。わざわざ来店していただき、極端にいえば2〜3時間くらい滞在して、買い物をしたり、お茶や食事でくつろいでほしい」。10年に開店した白金台店と同様に、繁華街やショッピングセンター内の店舗とは一線を画した環境と店作りで、ロイヤリティの高い顧客との関係を築く。