ニット機大手の島精機製作所の2019年3月期は、売上高が前期比28.5%減の513億円、本業のもうけを示す営業利益が同68.9%減の46億円、経常利益が同67.8%減の49億円、純利益が同66.0%減の38億円と大幅な減収減益になった。好調に推移していたニットスニーカー向けの編み機が競争激化で大幅な販売減になったほか、ピーク時には売上高の2割を占めていたバングラデシュからの受注が年末の総選挙に伴う政情不安で大幅に減少した。受注減に伴い、工場の稼働率がピーク時の3割程度にまで落ち込み、利益を圧迫した。
ニットスニーカー分野の競争激化の影響で21年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画で掲げた売上高1000億円、営業利益と経常利益250億円、純利益180億円の数値目標も、売上高650億円、営業利益100億円、経常利益100億円、純利益70億円に下方修正した。島三博社長は「大手スポーツブランド向けのシェアは維持しているが、(ニットシューズが)急成長しているファストファッション分野などのボリュームゾーンで廉価版を提供する中国企業や、もともと機械の安価な丸編機に競り負けた。この分野はすでに競争が激しく価格競争化するレッドオーシャンになっている」と語った。
ピーク時には5分の1を占めていたニットスニーカー分野の不振により、20年3月期も上期は低調に推移する見通しで、売上高は同18.4%減の230億円、営業利益は同90.8%減の4億円、経常利益は同84.9%減、純利益は同81.9%減の6億円の見通し。下期以降は無縫製ニット機「ホールガーメント」の増販やバングラデシュ市場の復調により、通期の見通しは売上高523億円、営業利益40億円、経常利益44億円、純利益33億円を計画している。
島精機はセーター用やニットスニーカー用の繊維機械である横編みニット機の世界最大手の一つ。本社工場のある和歌山で部品の設計・生産から組み立てまで一貫生産し、日本生産にこだわる一方、売上高の8割以上を海外向けが占めている。