2019年4月、フランス発ブランド「ヴァネッサブリューノ(VANESSABRUNO)」の最高経営責任者(CEO)にアンリ・セバウン(Henri Sebaoun)氏が就任した。セバウンCEOを迎えて新体制となった「ヴァネッサブリューノ」は、あらためてライフスタイルブランドとしての地位確立を目指す。セバウンCEOは、「いわゆるコテンポラリーゾーンの市場は、夢を売るラグジュアリー市場とは大きく異なり、リアルクローズとして何を提案できるかが重要。その点、『ヴァネッサブリューノ』は、リアルクローズとしてのファッションに対するビジョンを持っている」と説明する。
日本市場は2019年春夏シーズンから服飾雑貨の製造卸を行うギャレットのグループ会社ユグランスが東レ・ディプロモードから独占輸入販売権を引き継いだ。特にアイコンとなっているスパンコール装飾のトートバッグ“ル・カヴァ”の印象が強い日本市場において、ウエアを強化することで同ブランドをライフスタイルブランドに育てていく。
日本の売り上げシェアは現時点では10%以下だが、将来的には10~15%までの拡大を目指す。また、3年後までに国内売上高25億円(小売価格)を視野に入れる。その内訳は小売り5割、卸3割、EC2割。目標達成のため、小売りについては、伊勢丹新宿本店や阪急うめだ本店など4店舗ある直営店を19-20年秋冬シーズン中に3~4店舗増やす予定だ。また、卸も19-20年秋冬から有力セレクトショップを中心に50~60店舗で展開することを目指す。ECは4月24日にリニューアルオープンした。
ユグランスの中川嘉久取締役は、「ウエア含め、トータルで世界観を見せられないかという相談がヴァネッサ本人からあった。彼女が生み出すパリジャンシックでエフォートレスな世界観は、これからの時代にマッチしていると感じた」とパートナーシップ提携の経緯を説明する。セバウンCEOも、「日本の今の若者はライフスタイル全体に関心を持っている。それが『ヴァネッサブリューノ』のライフスタイルブランドへの転換の戦略にうまく合致している」と続ける。
ライフスタイルブランドとして確立するためには課題もあるとセバウンCEO。その一つが若い層の新規獲得だ。若い世代にリーチできる場所への出店も進めるほか、“ル・カヴァ”を新規顧客獲得のアイテムとして活用していく。「“ル・カヴァ”はフランス製でありながら価格も手頃。あらゆる世代に響くアイテムで、若い世代へもアプローチできる」。
また、誕生20周年を迎える“ル・カヴァ”を記念して、旅にフォーカスした新コンセプト “ル・カヴァ ヴォヤージュ コレクション”を発表し、世界各地でポップアップストアを開催する。日本では5月1~7日に伊勢丹新宿本店と阪急うめだ本店で開催し、6月にはパリのボン・マルシェで売り場面積300平方メートルに及ぶ大規模なポップアップストアを開催するという。