ファッション

ミラノのコルソコモが上海店を閉店 中国から撤退

 ミラノの老舗セレクトショップ、ディエチコルソコモ(10 CORSO COMO以下、コルソコモ)が上海の店舗を5月末で閉店し、中国市場から撤退する。

 コルソコモは、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)系の投資会社Lキャピタル(L CAPITAL)が出資する中国企業、トレンディーグループ(TRENDY GROUP)と提携し中国事業を展開していたが、トレンディー側が提携および建物のリース契約の更新に同意しなかった。コルソコモは、「中国における『コルソコモ』ブランドのライセンス契約と建物のリース契約は7年間で、それが満了となった。提携契約も2019年中に終了する」とし、閉店は想定内だと語った。現地メディアによれば、現在同店は最大70%引きのセールを実施しているという。

 13年にオープンした上海の店舗は、総面積が約2500平方メートルの5層構造で、カフェやレストラン、ギャラリーなども併設。トレンディーグループは、「オーチェリー(OCHIRLY)」や「スーパードライ(SUPERDRY)」など9つのマス向けファッションブランドを擁し、中国290都市に3000店以上を経営しているが、上海のコルソコモは同社初のライフスタイル提案型の店舗だった。その後、同社は高級百貨店であるSKP北京にもコルソコモをオープンしたが、17年に業績不振のため閉店している。

 好景気が続く中国では百貨店の業績もよく、SKP北京や上海のリールモール(REEL MALL)などは自社でセレクトショップ事業に乗り出し、いずれも好評を博している。また香港のアパレル企業I.Tグループ(I.T GROUP)は、ドーバー ストリート マーケット(DOVER STREET MARKET)とギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)と提携し、ファッション感度の高い層の支持を獲得。香港発のジョイス(JOYCE)もパーソナルコンシェルジュ機能を強化し、再び富裕層の心をつかんでいる。こうした中で、コルソコモは優位性を打ち出せなかったようだ。

 コルソコモは、1990年に編集者で出版人でもあるカルラ・ソッツァーニ(Carla Sozzani)がミラノで設立した。ファッション、フード、音楽、アート、ライフスタイル、デザイングッズなどを、雑誌を編集するように集めた独自のショップ環境を創造。新しい買い物体験を生み出し、世界で知られるショップとして認知された。2008年にサムソングループ(SUMSUNG GROUP)との合弁でソウルに出店しているほか、18年9月にはハワード・ヒューズ・コープ(HOWARD HUGHES CORP)と契約を結びニューヨークに出店。日本では、02年にコム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)とともに東京・南青山にショップをオープンしたが、12年に閉店した。

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