ワコールホールディングス(HD)の2019年3月期連結業績(米国会計基準)は、売上高が前期比0.8%減の1942億円、営業利益が同57.6%減の48億円、純利益が同96.5%減の3億4100万円だった。子会社のピーチ・ジョンとその子会社に関する商標権およびのれんの減損損失56億円と、グループが保有する有価証券の投資評価損55億円を計上したため、利益を大きく落とした。
国内ワコール事業は、売上高が同2.3%増の1134億円、営業利益が同7.6%減の63億円。卸売りでブラジャーが堅調に推移したものの、百貨店を中心に展開するナイトウエアやマタニティウエアなどが苦戦、コンプレッションウエア「CW-X」も不振だった。一方、ワイヤレスブラジャーを展開する「ブラジェニック(BRAGENIC)」は売上高を大きく伸ばした。
海外ワコール事業は、売上高が同2.3%増の531億円、営業利益が同18.9%増の45億円。米国と英国は百貨店の店頭販売が苦戦したが、中国は10%の増収だった。中国では顧客データマーケティングの強化と物流体制の増強を図り、他社ECモールで成長を加速させた。売上高のEC比率は米国で28%、欧州で18%、中国で14%に達した。
ピーチ・ジョン事業は、売上高が同2.8%減の104億円、営業損益が58億円の赤字(前期は4億1100万円の黒字)。減損損失に加えて、国内の減収と中国の伸び率鈍化、人件費や物流費の増加も響いた。1月にサプリメントに関する不適切な表現でSNSを停止していた影響も出た。また「『ユニクロ(UNIQLO)』に代表されるノンワイヤーブラが市場で脚光を浴びる中、主力商品群で開発ができていなかったことも一因」(安原弘展ワコールHD社長)という。
今期(20年3月期)は、売上高が前期比3.0%増の2000億円、営業利益が同125.5%増の110億円、純利益が90億円と予想する。減損損失の反動によって大幅な増益になる。