インドのシーク教徒が巻くターバン風のヘッドスカーフを「グッチ(GUCCI)」が販売していたことが、“文化の盗用”だとして物議を醸している。同ブランドは、ECで販売していたバラクラバ帽風のトップスが黒人差別だと指摘を受けて2019年2月に謝罪し、再発防止策などを3月に発表したばかりだ。
このターバン風ヘッドスカーフは、バラクラバ帽風のトップスと同じく「グッチ」の18-19年秋冬コレクションで発表された。当時もこれを問題視する声が一部であがっていたが、バラクラバ帽風のトップスが引き起こした“黒人差別”の騒動が大きくなり、それにかき消される格好になっていたようだ。しかし、5月16日にシーク教徒の市民団体が「シーク教徒のターバンはファッション用のアクセサリーではなく、宗教的な信仰箇条を示す神聖なものだ。この重要な事実が広まるよう働きかけていきたい。#盗用」とツイッターに投稿したことから、再び問題に火が付いた。宗教的な意味があるものを、信者ではない白人モデルにファッションとして身に着けさせたことに対し、「偽物の『グッチ』を売るよりはるかに酷い行為だ」と批判するツイートなどが投稿されている。
“黒人差別”だと物議を醸した際、マルコ・ビッザーリ(Marco Bizzarri)社長兼最高経営責任者は、「グッチ」が協業しているニューヨーク・ハーレムの伝説的テーラーであるダッパー・ダン(Dapper Dan)ことダニエル・デイ(Daniel Day)などのアフリカ系アメリカ人コミュニティーのリーダーたちと話し合っている。後日、同社は多様な人材の採用や社員教育、世界中のデザイン学校と提携した奨学金の提供などを含めた多様性とインクルージョン推進プログラム「グッチ・チェンジメーカーズ(GUCCI CHANGEMAKERS)」を発表した。
ターバン風ヘッドスカーフは、米百貨店ノードストロム(NORDSTROM)のECで“インディー フル ターバン”として790ドル(約8万6000円)で販売されていたが、現在は“インディー フル ヘッドラップ”となり、売り切れと表示されている。なお、このヘッドスカーフは「グッチ」のECやその他の小売りでは販売されていないようだ。「グッチ」はまだ声明などを発表しておらず、米WWDからの問い合わせにも回答はなかった。