プラダ・グループ(PRADA GROUP)は5月22日、2020年春夏ウィメンズ・コレクションから、自社デザインや新製品に動物の毛皮を使用しないと発表した。ただし、在庫がなくなるまでは販売する。
40数カ国50を超える動物保護団体が参加するファーフリーアライアンス(Fur Free Alliance以下、FFA)と連携した今回の発表は、FFA参加団体、LAV(1977年にイタリアで設立された動物の解放や権利、環境保護を訴える団体)、米国動物愛護協会(以下、HAUS)との間で行われた建設的かつ積極的な対話を受けたもの。
同グループの共同最高責任者兼デザイナーであるミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)は、「プラダ・グループには、革新と社会的責任を果たすという義務がある。FFA、特にLAV、HSUS との対話を受けて決定した毛皮使用廃止の方針は、その取り組みの一環だ。革新的な素材に焦点を当てることで、エシカルな製品の需要を満たしながらも、クリエイティブなデザインの追求が可能となる」とコメントを発表した。
FFAのヨー・ビンディング(Joh Vinding)会長は、「プラダ・グループのファーフリー宣言を称賛する。動物に対する消費者の意識の変化に呼応するように毛皮を扱わないブランドが増えているが、プラダ・グループおよび同社のブランドもその仲間入りをした」と述べる。
また、FFAのブリジット・オウェレ(Brigit Oele)=プログラムマネジャーは「プラダ・グループは、ファーフリーに向けて最も迅速な決定を下した企業の一つだ。積極的な話し合いは、ほんの1年あまり前に始まったばかりだった。ファーフリーリテイラー認証プログラムには現在約1000社が登録しており、この世界的な動向が急速に勢いを増していることの証しだ。もはや毛皮が再び流行することはないだろう。今日は動物たちにとって本当に素晴らしい日だ!」とコメント。
LAV のシモーネ・パヴェージ(Simone Pavesi)=アニマルフリーファッションマネジャーは、「今後毛皮を扱わないというプラダ・グループの決断はエシカルラグジュアリーの新たなコンセプトに即するもので、環境と動物を尊重したサステイナブルな製品をより慎重に選択する新しい消費者の期待に応えるものだ」と述べる。
HAUSのPJ・スミス(PJ Smith)=ファッションポリシーディレクターは「毛皮の使用廃止を発表したファッション業界大手であるプラダ・グループは、次世代における動物福祉と革新を率いる存在となる」と話す。
日本でFFAのメンバーとして活動する認定NPO法人アニマルライツセンターの岡田千尋代表理事は「企業のファーフリーの流れは、世界だけでなく日本の消費者の意向とも一致しており、日本でも18 年からしまむらが毛皮使用を廃止するなど、動きが加速している。プラダ・グループの決断によって、その流れはより確固たるものになった。10年前では考えられなかった大きな流れだ。次の10年では、毛皮に限らず、動物を苦しめるファッションから離脱し、エシカルな社会に変わっていくことを期待する」とコメントした。