ブラジル最大規模のビューティ企業、ナチュラ・コスメティコス(NATURA COSMETICOS、以下ナチュラ社)は米国発祥で現在は英国に本社を置くエイボン・プロダクツ(AVON PRODUCTS)を買収すると5月22日に発表した。ナチュラ社が76%を、エイボン・プロダクツが24%の株式を所有する新会社ナチュラ ホールディングス(NATURA HOLDINGS)を設立する。ナチュラ社は2017年にロレアル(L'OREAL)から「ザ・ボディショップ(THE BODY SHOP)」を買収しており、オーストラリア発のスキンケアブランド「イソップ(AESOP)」も保有する。ナチュラ社によると、今回の買収により世界で4番目に大きい美容専業企業となり、年間総収入は100億ドル(約1兆1000億円)以上になるという。
近年、エイボン・プロダクツの事業は苦戦し、グローバルビジネスを強化するため、特に業績の悪かった北米事業部を16年に分社化。北米事業の株式80.1%を1億7000万ドル(約187億円)で投資会社のサーベラス・キャピタル・マネジメント(CERBERUS CAPITAL MANAGEMENT以下、サーベラス)に売却し、ニュー エイボン(NEW AVON)として独立させた。その後19年4月に韓国のLGハウスホールド&ヘルスケア(LG HOUSEHOLD & HEALTH CARE、)が、ニュー エイボンをサーベラスから1億2500万ドル(約137億円)で買収した。
なお、エイボン・プロダクツの18年度の売上高は前期比10%減の37億5000万ドル(約4125億円)だった。ブラジルやロシア、フィリピンなどを中心としたグローバルビジネスは、18年初めに就任したユニリーバ(UNILEVER)出身のヤン・ザィデルフェルト(Jan Zijderveld)最高経営責任者(CEO)のもと、電子パンフレットや電子トレーニングプログラムなどを行い、近代化に取り組んできたが、訪問販売の売り上げは減少し続けている。
米証券会社ジェフリーズ(JEFFERIES)のステファニー・ウィシンク(Stephanie Wissink)=アナリストは「ナチュラ社とエイボン・プロダクツはここ10年間でブラジルにおいてのシェアを失っており、かつては09年に両社合わせてブラジル市場の24%のシェアを占めていた」と語る。その後ブラジルの美容市場規模が倍増する中で、その地位をユニリーバやボティカ(BOTICA)が占めるようになっていたという。「この買収が成立すればナチュラ ホールディングスは同国内の美容とパーソナルケア市場でトップの地位なるだろう」と推測する。