ゴールドウインは、社名ブランド「ゴールドウイン(GOLDWIN)」の海外出店に乗り出す。今年秋に米サンフランシスコに海外直営1号店を開くのを手始めに、2020年中に独ミュンヘンと中国への出店を計画する。近年の好業績を追い風に、同業他社に比べて遅れていた海外事業に本腰を入れる。
同社が海外に直営店を出すのは初めて。サンフランシスコの店舗は、昨年11月に東京・丸の内に出した「ゴールドウイン」1号店と同様にライフスタイル商品を軸にしながらアウトドア、アスレチック商品などを扱う。オープンは9月か10月の見通し。海外では店舗にショールーム機能も持たせ、ECと連動させることで、消費者との接点を広げる。
この数年のゴールドウインは「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」を中心としたアウトドアブランドの好調によって右肩上がりの業績が続いている。直近の19年3月期は、売上高が前期比20.6%増の849億円、営業利益が同67.0%増の118億円と過去最高業績を更新した。
ただ楽観視はできない。売上高の76%がアウトドア関連、97%が日本国内に集中しており、長期的な成長には限界があるからだ。同社はこれまで「ザ・ノース・フェイス」「ヘリーハンセン(HELLY HANSEN)」「エレッセ(ELLESSE)」「カンタベリーオブニュージーランド(CANTERBURY OF NEWZEALAND)」「スピード(SPEEDO)」など、海外ブランドを日本市場で成功させてきた。同社が日本での商標権を保有するブランドが大半で、ライセンス契約の打ち切りのリスクはあまりないものの、海外で販売することはできない。同業他社の海外売上高比率はアシックスが7割以上、ミズノが3割以上、デサントが約6割であるのに対し、ゴールドウインは欧米でのスキーウエア事業など3%に留まっている。
長期的な成長への布石として取り組むのが社名ブランド「ゴールドウイン」だ。スキーウエアとして長い歴史があり、欧米でも各国代表のユニフォームなどでスキー上級者に一定の知名度がある。16年以降、スキーで培った機能性を用いたカジュアルウエアの開発に乗り出し、18年にはロゴマークを刷新するなど、海外展開を見据えたリブランディングに取り組んできた。新しい世界観を表現するために昨年11月オープンした丸の内店は「想定を上回る滑り出し」(西田明男社長)を見せているという。