カナダグース ホールディングス(CANADA GOOSE HOLDINGS以下、カナダグース)の2019年3月期決算は、売上高が前期比40.4%増の8億3050万カナダドル(約672億円)、営業利益が同42.4%増の1億9670万カナダドル(約159億円)、純利益が同49.4%増の1億4360万カナダドル(約116億円)と大幅な増収増益だった。しかし第4四半期の結果が業界アナリストや投資家の期待値を下回ったことから、決算発表後に株価が前日比で30.8%下落した。
第4四半期は、売上高が同25.1%増の1億5620万カナダドル(約126億円)、純利益は同11.1%増の900万カナダドル(約7億2900万円)だったが、包括利益(純利益に、損益計算書には計上されない為替換算調整額や含み損益などを加えたもの)が同10.4%減の600万カナダドル(約4億8600万円)と減益だったことがアナリスト評価に響いたようだ。なお、通期の包括利益は同53.0%増の1億4430万カナダドル(約116億円)だった。
事業別の売上高では、卸が同18.7%増の3億9920万カナダドル(約323億円)、D2C(Direct to Consumer、顧客直結型ビジネスモデル)が同69.7%増の4億3130万カナダドル(約349億円)だった。
ダニー・リース(Dani Reiss)社長兼最高経営責任者(CEO)は、「当社が急激に成長し、大幅な利益を上げているという事実に変わりはない。第三者がどう思うかをコントロールすることはできないが、これまでで最高の業績を上げることができて大変うれしく思っている。事業を四半期ベースで見るのは適切ではなく、当社には当てはまらないのではないか。うまく行っているものを変える必要はないし、今後も結果を出し続けるつもりだ」と語った。
米証券ウェルズ ファーゴ(WELLS FARGO)のアイク・ボルーチョウ(Ike Boruchow)=アナリストは、「カナダグースの成長ストーリーはアパレル業界の中で最も輝かしいものの一つだ。しかし第4四半期は、期待値などが上乗せされて高値で取引されている株価を維持するには物足りない結果だった。売上高も、業界予想の1億5800万カナダドル(約127億円)をやや下回っている。成長の余地はまだ大いにある一方で、より多くの固定費を必要とするビジネスモデルに転換しつつあるように見える。投資家は、それがどの程度の潜在的リスクとなるかを見極めようとしているのだろう」と述べた。