ナイキ(NIKE)が手掛けたスペインの名門フットボールクラブ、FCバルセロナ(FC BARCELONA)の2019-20年シーズンの新ユニホームが話題を呼んでいる。
バルサのユニホームといえば、ブルーとレッドのストライプ柄を基調としたデザインがシンボルであり、フットボールファンのみならず国際的にも広く知られている。このアイコニックなストライプ柄は、15-16年シーズンに採用されたボーダー柄を除き、太さの違いはあれど1899年のクラブ創設以来かたくなに守られてきた伝統のデザインだ。
しかし今回発表されたデザインでは、これまでのストライプ柄とは大きく異なるチェック柄を採用した。これは、碁盤の目のように区画整備されたバルセロナのアシャンプラ地区にインスパイアされたものだという。
当然、サポーターからは戸惑いの声が上がり、スペインに拠点を置くスポーツ紙「マルカ(Marca)」は「リスキーなデザイン」と報道。チェック柄のユニホームで知られるクロアチア代表の協会は、「バルサの試みは素晴らしい。しかし、(われわれの)ホワイトとレッドのチェック柄には勝てない」とコメントするなど、フットボール業界がちょっとした騒ぎとなっている。
来季のバルサのほかに、同じくストライプ柄(ホワイト × ブラック)をシンボルデザインとしてきたイタリアのユヴェントスFC(JUVENTUS FC)もバイカラーに変更するなど、近年多くのクラブがデザインを一新したユニホームを発表している。というのも、ユニホームはシーズンごとにデザインを新調することが通例であるが、微々たるデザイン変更であれば購入しないサポーターも多い。しかしクラブからすれば貴重な収入源であり、購入を促す意味からもデザインやスポーツブランドとのパートナーシップの変更を選ぶケースがある。資金繰りにとらわれた伝統を重んじない取り組みは、いささか本末転倒のように思われる。