ドラッグストア業界の勢力図を大きく変える動きが出てきた。業界7位のココカラファインは、業界5位のスギホールディングス(HD)との経営統合の検討に関するリリースを6月1日に発表した。しかし、それより前の4月26日には業界4位のマツモトキヨシHDとも資本業務提携の検討に関する発表をしており、これも継続するとしている。ココカラファインはどちらと手を組むのだろうか。
ココカラファインは関東、関西で1354店舗(3月末時点)を保有しており、マツモトキヨシは首都圏を中心に1654店舗(3月末時点)を展開する。両社は化粧品の構成比が高く、都市部に展開している点で共通しており、資本提携により商品の仕入れ調達や物流の共同化、そしてマツモトキヨシHDが力を入れている化粧品などのプライベートブランド(PB)の共同開発などを進める方針で、9月末までの契約締結を目指していた。
しかしマツモトキヨシとの資本業務提携に関する発表の翌日である4月27日にスギHDからココカラファインに経営統合に関する検討の打診があり、6月1日に検討に関する合意書を締結した。スギHDは関東、中部、関西で1190店舗(2月末時点)を持ち、主に郊外で展開している。そのうち833店舗が調剤実施店舗となり、ヘルスケア領域に強みを持っている。ココカラファインの調剤実施店は292店にとどまるが、17年にエイチ・ツー・オーリテイリング傘下のイズミヤが運営する調剤薬局を買収している。両社が経営統合すれば都市から郊外までに2500店舗以上、売上高で約8900億円となる。
ココカラファインは両社との関係を個別に検討するため、特別委員会を設置予定だ。6月5日には再度、マツモトキヨシHDがリリースを発表。「資本業務提携に限らず経営統合を含むあらゆる選択肢の検討及び協議を進める方針をココカラファインへ本日伝達した」と、当初は検討事案に挙げられていなかった経営統合を示唆した。スギHDとココカラファインの経営統合は7月末を目標に動いており、ココカラファインの決断に注目が集まっている。