アダストリアは6日、中国・上海に年末オープン予定の「ニコアンド(NIKO AND...)」旗艦店に関して、大手商業デベロッパーの淮海グループとの調印式を上海市内のホテルで開いた。壇上ではアダストリアの福田三千男会長兼社長と淮海(ワイハイ)グループの孫忠明董事長が文書にサインを交わし、集まった中国メディア約30社にブランドをアピールした。
「ニコアンド」が出店するのは、ラグジュアリーブランドからファストファッションまで多くのブランドが軒を連ねる淮海中路の一角。交差点に面した3層の路面店で売り場面積は約2000平方メートルもあり、日本の旗艦店である原宿店の2倍の広さになる。1階はウィメンズ、生活雑貨、カフェ、2階にメンズ、家具、3階にレストランなどで構成する。日本と同様に衣食住やカルチャーなど幅広い領域をカバーしつつ、地元企業と組んで中国ならではの物販やサービスを提案する。
指揮を執る北村嘉輝・取締役営業統括本部長は「中国で旗艦店を作るからには、圧倒的な規模でなければ勝負にならない。日本でやり慣れたフォーマットではなく、『ニコアンド』が足りていなかった部分に取り組み、ブランドを一段上に進化させる」と話す。
これまでアダストリアの中国事業は、複数のブランドを集積した「コレクトポイント(COLLECT POINT)」業態を展開してきた。だが軌道には乗らず、2019年2月期(前期)には不採算・低収益の40店を閉じた。前期の中国事業は、事業縮小の影響で売上高が約3割減の12億円、営業損益が9億円の赤字だった。今後は中国未進出ながら、日本および韓国、台湾で勢いのある「ニコアンド」で成長戦略の柱に据える。
福田会長兼社長はこれまでの中国事業を「ローカルへの理解が足りなかった」と反省し、「上海のお客様が本当に望むものを理解して、新しいワクワクを提案できるようにしたい」と話す。営業部門のトップである北村取締役を現地に駐在させて迅速な意思決定を行うとともに、優秀な現地スタッフの発想を事業に生かす体制を作る。
旗艦店でタッグを組む淮海グループは、淮海路(ワイハイルー)を中心としたエリアの商業開発で国内外の約150ブランドとの実績がある。孫董事長は「『ニコアンド』はファッションだけでなくライフスタイルまで包括的に提案できるユニークなブランド。アダストリアは上海のショッピングストリートに新しい魅力を作ってくれるだろう」とエールを送った。