アルビオンの2019年3月期決算は、売上高が前期比0.6%増の686億円、営業利益が同25.9%減の135億円、純利益が同27.5%減の93億円の増収減益だった。ベースメイクが全体をけん引した一方、スキンケアは主力の化粧水「薬用スキンコンディショナー エッセンシャル(スキコン)」などが苦戦。また、外国人による転売対策として個数制限や中国市場における内外価格差を減らしたことなども影響した。
部門別では、営業本部(国内)の売上高が同3.5%減だった。ブランド別では「アルビオン(ALBION)」が同8.6%減、「イグニス(IGNIS)」が同5.9%増、「エレガンス(ELEGANCE)」が同23.9%増と「イグニス」「エレガンス」が伸長した。カテゴリー別ではスキンケアの売り上げが同9.2%減、ベースメイクが同15.2%増、ポイントメイクが同19.1%増とスキンケアが苦戦。「前期の売り上げは、『アルビオン』が横ばいから下降へ、『イグニス』が苦戦から上昇へ、『エレガンス』は好調を維持という結果になった。ベースメイクは、新しいお客さまと出会うためにサンプリングなどを行う“お客さまづくりチャレンジ”や、ファンデーションに特化した体験型イベント“フェンデーションフェス”を行ったことが奏功した」と渡辺省一・営業本部 営業企画統括部 統括部長は語る。
国際事業部の売上高は同19.3%増だった。ブランド別の売上高は「ポール & ジョー ボーテ(PAUL&JOE BEAUTE以下、P&J)」が同17.9%増、「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ(LES MERVEILLEUSES LADUREE)」が同15.1%減、「アナ スイ コスメティックス(ANNA SUI COSMETICS)」が同19.3%減となった。「『P&J』はプライマーが好調で、売り上げの半分はインバウンドだ。昨年は初のコンセプトストアがオープンし、3月にオープンした大阪・天王寺ミオの2号店と共に人気。『アナ スイ』は若年層から人気が高いが、“大人のメイクブランド”としてスタートしているため、今一度ブランドを見直していく。大人女性が憧れるブランドとして新ライン「スイ ブラック」をデビューさせ、このアイテムを皮切りに「アナ スイ」の全アイテムを変更していく予定」と小林勇介・常務 国際事業本部 本部長。
全体の売上高が同0.6%増で着地した理由について小林章一社長は、「15~18年度の売り上げは、507億円から680億円に上昇した。そして一昨年までの4年間は、自分たちの努力に関係なく数字が上がる部分もあった。そこで、かねてから掲げていた転売業者への対策を強化。昨年7月1日から個数制限にプラスして百貨店の株主優待券と免税の併用を禁止した。そして一番効果があったのが、内外価格差(日本の販売価格と中国の販売価格)を1.5倍から1.25倍に減らしたこと。転売業者が商売をしづらい状況を作り、昨年度は転売業者の売り上げ(出荷ベース)だけで同37%減の23億6100万円マイナスとなった。このマイナス分をカバーするために、国際事業本部が一昨年秋に韓国にロッテ免税店、昨年は関西国際空港、成田空港、羽田空港に免税店をオープン、越境ECもスタートした。それらに注力したことで22憶8600万円のプラスとなった」と述べた。
秋には、「スキコン」に次ぐ柱となる新化粧液「フローラドリップ」を登場させるほか、新ジャンルを含めた単品アイテムを投入させていく予定だ。19年度売上高は同5.3%増の723億円(営業本部が同1.3%増、国際事業部が20.9%増)を目指す。