「トップショップ(TOPSHOP)」「トップマン(TOPMAN)」などを擁する英アルカディア・グループ(ARCADIA GROUP以下、アルカディア)は6月12日、債権団に提示していた再建策が了承されたと発表した。これにより同社は経営破綻を免れ、再建の道を歩む。破綻すれば、グループ全体でおよそ1万8000人の雇用が失われると試算されていた。
債権団は年金受託者、サプライヤー、不動産会社などから構成されており、再建策には店舗の閉店、従業員の解雇、建物賃料の値下げ交渉、経費削減などが盛り込まれている。アルカディアの小売り店舗の家主で、商業施設の開発管理会社イントゥ・プロパティーズ(INTU PROPERTIES)は、「賃料の値下げはほかのテナントに対して不公平であり、当社の株主にとっても利点がない」と再建策に反対していた。しかし債権団の投票によって了承されたことを受け、「アルカディアと建設的に協議し、双方にとって最良の結果となるよう努める」とコメントした。
再建に当たっては、同社を所有する大富豪のフィリップ・グリーン(Philip Green)卿の妻で同社の主要株主であるグリーン卿夫人が、3月に投じた5000万ポンド(約68億円)に加えて新たに5000万ポンド相当の株式を投じるほか、建物賃料の値下げ分を補完するための費用もある程度負担するという。また、アルカディアが年金不足分を補填するために追加拠出している額を、3年間は現在の年5000万ポンドから2500万ポンド(約34億円)に減額することも再建策の争点の一つとなっていた。しかし、こちらもグリーン卿夫人が1億ポンド(約137億円)のキャッシュなどで支援することを約束し、年金関係者との合意にこぎつけた。
イアン・グラビナー(Ian Grabiner)=アルカディア最高経営責任者は、「再建案を支持してくれた債権団と、グリーン卿夫人の継続的な支援に心から感謝している。おかげでアルカディアおよび大勢の従業員、そしてサプライヤーの将来がかなり安定した」と語った。同氏はまた、「コストを削減し、財務状況を安定させることが最優先の課題だ。再建策を実施し、ECや卸の売り上げを伸ばしつつ、引き続き小売り事業を中心として業績を上げていきたい」と今後の展望を述べた。
再建策の一環として、イギリスとアイルランドで展開している566の売り場のうち23カ所を閉める可能性があり、194カ所で賃料の値下げを交渉する。「トップショップ」と「トップマン」のオックスフォードサーカス旗艦店を含むその他349カ所は営業を続けるが、アメリカで展開している11店の「トップショップ」は近日中に閉店される可能性があるという。なお、同ブランドは米百貨店ノードストロム(NORDSTROM)でも取り扱われている。