ファッション

滝川クリステルと「エル」編集長が絶賛する日本環境設計の“目からうろこ”の技術とは?

 日本環境設計という会社をご存知だろうか。同社は、消費者参加の循環型社会の仕組みづくりに取り組み、また、革新的なリサイクル技術を開発して世界からも注目を集める環境ベンチャーだ。日本では良品計画やアディダス(ADIDAS)、ジンズ(JINS)やNTTドコモなどと組んで古着や眼鏡、携帯電話などのリサイクルを行っており、実は身近な存在でもある。

 6月15日、ハースト婦人画報社の「エル(ELLE)」グループが渋谷ヒカリエホールで開催した“働く女性を応援するイベント”「エル・ウーマン・イン・ソサイエティ(ELLE WOMAN in SOCIETY)」で登壇した坂井佳奈子エル・コンテンツ部総編集長はこう語った。「日本環境設計の目からうろこのワクワクする取り組みを読者と共有したいと思った。(8つ企画したセッションの中でも)このセッションをまず一番に決めた」。日本環境設計は何がどう革新的なのか。

 イベントでは、日本環境設計の岩元美智彦・代表取締役会長と滝川クリステル一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル代表理事が“捨てる罪悪感はもういらない?循環型社会でワクワクの未来を!”をテーマに対談。

 滝川代表理事が日本の現状を示す数字を提示しながら、岩本会長とのセッションを進めた。その内容を一部抜粋して紹介する。

100万トン――日本で1年間に
廃棄される服

 日本で1年間に廃棄される衣類の量は100万トンで、28億着分。カーテンなどを含めた繊維ゴミは200万トンといわれており、家電リサイクル法でリサイクルされる家電の65万トンと比べると衣類は約1.5倍、繊維全体は約3倍の量になる。

899万トン――日本の年間での
プラスチックごみの量

 日本の年間のプラスチックゴミ量の899万トンの中でリサイクルされているのは24%で、リサイクル率が高いペットボトルでも年間25億本が捨てられている。プラスチック包装容器の廃棄量は、日本はアメリカに次いで世界2位という多さだ。

1.6兆円――自然災害で
支払われた保険料

 2018年、日本で損保会社が自然災害で支払った保険金は1兆5694億円と過去最高だった。世界全体では15兆円だった。

綿からエタノール、
ジェット機を飛ばす燃料に

 岩元会長は「自然災害の原因は異常気象だ。石油を使わなければ二酸化炭素は減る。今あるものを資源に変えて循環型社会を実現することが必要であり、まずは衣類のリサイクルから始めようと考えた。衣類の30%はコットン、60%はポリエステルといわれており、それを利用する技術を開発しようと考えた」と話す。

 日本環境設計はまず、Tシャツの綿からバイオエタノールを作る技術を開発した。「バイオエタノールを燃料にデロリアン(映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場する車型のタイムマシン)を動かそうと考えた」と岩元会長。地球規模の大きな課題に対して、エンターテインメント性を持って取り組み、実際に“デロリアン”を動かして話題になった。現在は日本航空と、20年春を目標にバイオ燃料でジェット機を飛ばそうと計画している。

 岩元会長が次に取り組んだのは(石油由来の)ポリエステルの循環だ。「ポリエステルを劣化させずに原料にまで戻して、新たな繊維を作る技術を開発した。この技術で衣類を循環させることができるし、石油でモノを作らなくてよくなる」と言う。現在、良品計画やアディダスなどの店頭に回収ボックスがあるが、この仕組みを「10年かけて築き上げた」と胸を張る。さらにこの仕組みによって目指しているのは「戦争のない世の中」だという。「戦争やテロの多くは地下資源の争奪が原因になっている。 地上資源のみを使用する仕組みをつくれば、平和な世界になるのでは」と大きな希望を語る。

東京五輪のメダルを
携帯のリサイクル資源で

 日本環境設計はNTTドコモとの取り組みで、回収した携帯電話の中にある金属から東京五輪のメダルを作る。「平和の祭典であるオリンピックのメダルを、(戦争やテロの原因になる)地下資源で作らないというコンセプトだ」と岩元会長は言う。また、選手のユニホームもいらない服をリサイクルして作る。

 トークセッションの最後に岩元会長と滝川代表理事は、「まずは捨てられている現実を知ること。これまで回収しても再利用する技術がなかったけれど、今はそれができており、あらためてケミカル技術が重要になってきている。みなさんも、ひとつ、小さな行動からでいいので今日から始めてほしい」と語った。滝川代表理事は、「こうした技術開発は男性によるものが多いけれど、消費を握っているのは女性。女性の意識が全てで、女性の意識が変わればマーケットが変わる」と力強く語った。

 「エル・ウーマン・イン・ソサイエティ」は働く女性を応援するイベントとして毎年開催している。6回目となる今回は“NEW ERA, NEW WORLD~新時代の女性を生きる~”をテーマに、上記の2人のほかにも、ファッションモデルの冨永愛とスタイリストの北村道子、ヴェロニカ・プラット・ヴァンテール(Veronica Prat van Thiel)=カルティエ ジャパン プレジデント兼最高経営責任者(CEO)とクリスティン・エドマン(Christine Edman)=ジバンシィジャパン プレジデント兼CEOらが対談を行った。会場には2700人以上の20~40代の女性が集まった。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。