上海のアイシクル・ファッション・グループ(ICICLE FASHION GROUP以下、アイシクル)は、2018年10月に買収した仏ブランド「カルヴェン(CARVEN)」のジェネラル・マネジャーにダフネ・クジノー(Daphne Cousineau)を指名した。ショーナ・タオ(Shawna Tao)=カルヴェン最高経営責任者の直属となる。
クジノー=ジェネラル・マネジャーはカナダとフランスの国籍を有し、大手コンサルティング企業のマッキンゼー・アンド・カンパニー(McKINSEY & CO.)でキャリアをスタートした。その後、セリーヌ(CELINE)やヴァレンティノ(VALENTINO)、ランバン(LANVIN)を経て17年4月からはケリング(KERING)傘下のバレンシアガ(BALENCIAGA)に入社。欧州、中東、アフリカ地域のセールスを統括する欧州担当プレジデント兼エグゼクティブコミッティー・メンバーを務めた人物だ。
クジノー=ジェネラル・マネジャーは、「歴史あるファッションブランドの一員となり、リローンチ・プロジェクトを指揮できることを光栄に思う」とコメントしている。
「カルヴェン」は1945年設立のブランド。「ニナ リッチ(NINA RICCI)」を去り、現在はLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)傘下の「パトゥ(PATOU)」のクリエイティブ・ディレクターを務めるギョーム・アンリ(Guillaume Henry)により人気が復活し、コンテンポラリー・ブランドの一角を占めるようになった。しかし、アンリがブランドを去った後はクリエイションとターゲット層、そして価格が折り合わないことなどで低迷していたが、17年にセルジュ・ルフュー(Serge Ruffieux)をクリエイティブ・ディレクターに迎えリブランディングを図っていた。18年5月にパリの商事裁判所に日本の民事再生法に相当するフランスの法律適用を申請したことが明らかとなり、同年10月にアイシクルが買収。ルフューは買収を機に解雇となり2シーズンでブランドを去った。後任はまだ発表されていない。
YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中