2020年春夏シーズンのメンズコレクションを取材する記者2人が、見たまま感じたままにコレクションをレビューします。先輩記者Mは15年間メンズコレクションを見続けてきたベテラン、後輩記者Oは取材歴3年目。時には甘く時には辛口に、それぞれの視点で最新コレクションを語り合います。
記者M:「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」は、いつものショー会場アルマーニ / テアトロを離れて、モンテナポレオーネ通りの旗艦店裏にある本社の中庭で最新コレクションを発表したね。恥ずかしながら、本社がここだとは知りませんでした。昔、この近くでSPに囲まれてジョギングしてるアルマーニさんを見たことがあるんだけれど、ようやくその理由がわかりました。あの時はダッシュで近寄って、握手してもらったの。SPに取り押さえられなくてヨカッタ(笑)。
記者O:それはすごい!うらやましすぎます。ちなみにいつものアルマーニ / テアトロにはきれいなトイレがあるので、1日中取材周りをしているメディア関係者にとってはとてもありがたい施設なんですよね(笑)。そこを離れて本社での発表、とても素敵な雰囲気でした。僕は隅っこのスタンディング席で人と人との間からかろうじて見ていたんですけど、5月に12年ぶりに来日した影響って何かありましたか?アジア系のモデルが多いな、とは思いました。
記者M:トップモデルのKOHEIはもちろん、日本人モデルが何人か。いつもよりアジア系が多かったね。序盤のフォーマルは、ジレを中心に着物合わせが多くて、日本っぽいなぁって思いました。御年84歳ゆえ来日してすぐ働くのは大変だから、結構長い間滞在したんだよね。京都では修学旅行生と記念撮影した、なんて話も(笑)。長く滞在した分、いろんな刺激を得てくれたみたい。
記者O:それは嬉しい!記念撮影した修学旅行生たちよりも、親の方がもっとビックリするでしょうね(笑)。僕も距離だけは近かったので、素材の上質さがよくわかりました。春夏シーズンはあらゆるブランドからリネンやシルク混の素材が出てきますが、「ジョルジオ アルマーニ」の美しさはちょっと別格な気がします。特にスーツは表面の素材感や歩く際のなびき方などがすごくきれいで、見ほれてしまいます。秋冬のベルベットしかり、光沢系の素材を本当に上手く使いますよね。
記者M:風になびくリネンシャツは、末広がりのシルエットに仕立ててエアリーなムードを強調。反対に柔らかなベルベットはタイトに仕上げて着る人が柔らかさを堪能できるように。素材とシルエットを考えるって、こういうコトなんだって改めて思いました。あと、自然光だからリネンやコットンリネンのパステルブルーやライトグレーが本当にきれいだった。
記者O:確かに!いつもは屋内のライティングで見ていたので、今回は余計に見え方が違ったのかもしれませんね。フィナーレに登場したアルマーニさんはもいつもより長い時間来場者からの歓声に応えていたのも感動的でした。僕たちはすぐパリに移動しないといけなかったのでそそくさと会場を出発しましたけど、アフターパーティーではアルマーニさんや俳優のサミュエル・L・ジャクソン(Samuel L. Jackson)と記念撮影できたみたいですよ。なんて贅沢な。
記者M:フィナーレ直後から、アルマーニさん、いろんな人と記念撮影してたよね。場所も変わって、コレクションも“集大成”っていうくらいの出来栄えで、記念撮影まであって、なんだかホロリとしちゃいました。ホスピタリティー含め、1回1回のコレクションに全力を注ごうとする意思みたいなものを感じた。関係者に伺ったら、最近は結構エモーションを揺さぶられるみたい。御年84歳。生み出せるコレクションは限りがあるから、1つ1つを大切にしようと決意したんだなぁって感動しました。80代のアルマーニさんがあんなに頑張ってるんだから、我々はもっと努力しないと!
記者O:はい、気が引き締まります。パリメンズも頑張りましょう!