店内の服を無料で着用して外出できるサービス「キテク(KITEKU)」を運営するスプリング オブ ファッション(東京、保坂忠伸社長)は、ウィメンズブランド「エルザ・ウィンクラー(ELZA WINKLER)」最高経営責任者などを務める須谷真央氏と、保坂社長の兄でHACK JAPANホールディングスの保坂東吾代表からシードラウンドの資金調達を実施した。調達額は非公開。資金調達に伴い、7月1日付で出資者である須谷がスプリング オブ ファッション社外取締役に、ファッションを中心としたコンサルティングを手掛けるBeyond Wroksの佐々木康裕代表が顧問に就任する。資金は組織体制の強化や「キテク」のサービス開発に充てる。同サービスは秋以降に大幅なアップデートを行う予定だという。
「キテク」は店頭に並ぶアイテムを1日3点まで、最長1時間レンタルできるというもの。貸し出し中のアイテムの写真撮影、SNSへの投稿などを自由に行えるほか、返却時のクリーニングも不要だ。公式サイトで会員登録後、本人確認を行えば店舗でのバーコード提示で利用できる。今年の4月に三陽商会のラブレス(LOVELESS)で約1カ月間のテスト運用を実施。利用者の持ち出し平均時間は約30分で、一部は商品の購入につながったという。
出資した須谷氏は「『キテク』はファッション分野だけでなく、さまざまな分野のビジネスモデルにイノベーションを起こす可能性を秘めていると考えている。今後は社外取締役として、会社の発展のために尽力する」とコメント。顧問に就任する佐々木氏は「ファッションリテールのビジネスの活性化はもとより、他ジャンルでのビジネスポテンシャルを持っている『キテク』を自分の経験や知識の方面からサポートしていきたい」と語っている。