6月21日、晴れ。最高気温は23度。湿度も低くてベリー爽やか。昨日は久々に6時間寝て、元気いっぱい!朝ごはんも1時間半食べ続け(原稿を書きながら、ですよw)、ますます元気いっぱいです!さぁ、張り切って参りましょう。
10:20 「コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マン」
パリメンズの金曜日は、“ギャルソン・デー”。「コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マン(COMME DES GARCONS JUNYA WATANABE MAN以下、ジュンヤ マン)」と「コム デ ギャルソン・オム プリュス(COMME DES GARCONS HOMME PLUS以下、プリュス)」が競演する日だからです。先攻は「ジュンヤ マン」。コンセプチュアルでアヴァンギャルドなウィメンズに対して、リアルクローズのメンズというブランド。どっちもできるんだから、渡辺淳弥さんとはつくづく多才なデザイナーです。余談ですが、ウィメンズの正式名称は「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン」で、「コム デ ギャルソン」と「ジュンヤ ワタナベ」の順番もメンズとウィメンズでは異なっています。記事を書く人間としては、気を使うところです(笑)。
コレクションは、朝日を浴びる男性にぴったりの気取らないキレイめ。麻混でパリッとしたジャケパンに始まり、ステッチワークの効いたシャツや数少ないビビッドカラーのブルゾン(チューリップを描いた胸のワッペンがカワイイ)まで、「ジュンヤ マン」らしいハイブリッドを駆使しつつ、誰でも、気負わず着られる洋服ばかり。正直、派手好きな僕なんかは「もうちょっとなにか見たい」って思っちゃうけれど、「これくらいがちょうどいい」と思う人の方が多いのは事実でしょう。
11:30 「アン ドゥムルメステール」
お次はパリコレの遅刻常習犯「アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)」です。今回も、この後に影響しそうなプチ遅延。「アン」流のマリン。スモークで満たされた空間が、フラジール(繊細な)少年たちの世界に誘います。
12:30 「ジュン.J」
韓国代表「ジュン.J(JUUN.J)」のショーを見るため、再びセーヌ川左岸に逆戻りです。後半に向かうにつれてスポーティーなムードを増して独自性と説得力あるスタイルに進化しましたが、前半のフォーマルは再考の余地アリ。突飛すぎるし、二番煎じ感も否めません。
13:30 「ベルルッティ」
「ベルルッティ(BERLUTI)」は、今季も冴えています。クリス・ヴァン・アッシュ(Kris Van Assche)には、時代を切り開くモードな「ディオール(DIOR)」より、現代をモダンに進化させる「ベルルッティ」の方が合っています。靴の手染め“パティーヌ”で名を馳せるメゾンならではの、色鮮やかなセットアップがエネルギッシュ。ウィメンズほどではありませんが、オーストリッチの羽根を多用しました。リアルファーから距離を置くブランドが増える今、羽根は新たな“ドラマティック素材”として注目を集めています。
14:40 「メゾン ミハラヤスヒロ」
「ベルルッティ」が終わり、後輩オーツカが言うところの「BB」、つまり「貧乏バス」に乗り込みましたが、全く動きません。このクソ忙しい中(おっと失礼!)、界隈の大渋滞で15分経っても微動だにしない。
「ヤバい!『メゾン ミハラヤスヒロ(MAISON MIHARA YASUHIRO)』に間に合わない!一昨日、あんなにワインをご馳走になったのに!」と焦ってバスを降り、大通りまで走ってUberをキャッチ。車でまた右岸に戻ります。Uberを捕まえた時点で、時刻は14:00スタートという予定時刻より20分遅れ。到着予定は14:33と出ております(OMG!)。慌ててPRの方にLINEしたら、「待ってます!」との心強いお返事!Uberの運ちゃん、頑張ってくれ!
車は、後輩オーツカはもちろん、「ファッションプレス(FASHION PRESS)」の堀越さんと一緒。彼女、僕らがUberを待っている時、「乗せていただけませんか?」と声をかけてきたのです。エラい!アンタはエラい!話したことのない相手に勇気を持って直談判。なかなか出来ないですよ。焦りつつ、ムラカミは堀越ちゃん(ほぼ初対面ですw)の勇気と熱意に感動しました。
なんてジーンとしている場合じゃない!時間は刻一刻と迫ります。PRの方からは電話が来て、いよいよ待っていられない様子!ショー開始10分前まではセーヌ川を挟んで反対側にいましたが、そこから右折、左折、カーブで旋回が全て上手く行き、間に合いました~!いや、正確に言えば、間に合わせていただきました~!ありがとう「メゾン ミハラヤスヒロ」!
そんなドタバタの末拝見したショーは、大好き。大好物。最近の三原さんが得意とする、別の一着を前身頃か後ろ身頃にペタンとしたフェイクレイヤードな洋服はもちろん、クラフト感たっぷりのスニーカー(カラーブロッキングバージョン、オーダーしよっとw)、「ディスクユニオン(DISKUNION)」とのコラボアクセサリーまで大豊作。いやぁ、最後、「RIZAP」で鍛えた脚力でダッシュした甲斐がありました(笑)。
15:30 「ジル サンダー」
そして、またセーヌ川の反対へ(も~、めんどくさい!)。「またUberか……」と思っていたら、香港のセレクトショップ「ジョイス(JOYCE)」のマネージャー、マイケルが「車、乗る?」と神の一声。マイケル!アンタええ奴やー!10数年、一緒にコレクションを見てきてヨカッタ!
ってコトで余裕で着いた「ジル サンダー(JIL SANDER)」は、今回も優しいボリューム感でした。でも前回の方が、素材とパターンにどこよりもこだわっているカンジが強く伝わってきたかな。
夫妻デザイナーは、今回も仲良く手を繋いで登場でした。
16:15 「ルイ・ヴィトン」
「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」の展示会では、気になっていたアクセサリーを激写!そちらは別記事でお楽しみください。
3色のオーガンジーを重ねた洋服は、縫い付けられていて離れません。でも、それがいいんです。だってそれがヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)の思い描くダイバーシティーだから。異なる個性の人間が1つになるのが大事で、バラバラになっちゃイカンのです。
16:45
ようやく今日の昼ごはん。10分メシです。
17:20 「コム デ ギャルソン・オム プリュス」
ゴハンを食べて向かうは「コム デ ギャルソン・オム プリュス」。歩いて10分と思ってたら、後輩オーツカの情報が間違っており、現在地から歩いて27分!間に合わん!どないなっとんのや、オーツカ!
慌ててダッシュで地下鉄に向かい(今度はルーブル美術館前を爆走ですw)事なきを得ましたが、ファッションウイークは油断大敵です。
「プリュス」も最高でした。いつも通り性差なんてカンケーなくて、いつも通りスーツの力を訴えるけれど、何かにファイティングポーズとって「反骨」の精神を示しているというよりは、既成概念をフワッと「超越」、もしくはハナっから気にしてないカンジ。「反骨」だと時々息苦しく思えるのですが、今シーズンのセットアップはスカートルックばかりなのに“重たさ”とか“息苦しさ”とは無縁です。初めてスカートのセットアップをオーダーしようと思っています。
18:40 「ディオール」
またセーヌ川を渡って、「ディオール」。キム・ジョーンズ(Kim Jones)になって2回目の春夏は大きく方向転換せず、引き続き端正なフォーマル。新時代のスーツは、キムに任せておけば安心です。大理石カラー、ライトグレー、ベージュ。色と素材、シルエットを使い分け、多彩なフォーマルを打ち出します。よ~く見ると、コートやジャケットのポケットは、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)が生み出したアイコン“サドルバッグ”の形。オーガンジーのブルゾンやシャツには、同じくガリアーノによる新聞プリントが施されています。
スニーカーやブーツには、「ディオール」3代目デザイナーのマルク・ボアン(Marc Bohan)が生み出した“オブリーク”のモチーフが今季もしっかり。健在の“オブリーク”と言えば、キムが先シーズン提案した斜めに走るストール使いのフォーマル“タイユール(「斜め」を意味するフランス語) オブリーク”も健在です。キムの「ディオール」は、1年前のアイテムだって最新コレクションとコーディネイトして楽しめそう。マシュー・ウィリアムズ(Matthew Williams)とのチームワークで誕生したキャップ被っていた僕は、ホッと一安心、胸をなでおろしたのです。
そのキャップは今季、色覚異常のアーティスト、ダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)と協業しました。コレクション全体を貫く褪せた色彩は、彼から刺激を得たものです。「リモワ(RIMOWA)」とコラボしたトランクも含め、相変わらず最高を提案するためベストパートナーとタッグを組むインクルージョン(包摂・包括性)なマインドが滲みます。
20:20 「カサブランカ」
この時間(と言っても、本来の開始予定時刻は19:30でしたがw)は、「ゲーエムベーハー(GMBH)」と「カサブランカ(CASABLANCA)」がドン被り。“先輩権限”で「カサブランカ」を選んだら、場所がまさかのモンマルトルの丘の上!「ディオール」会場の左岸からは、メトロを乗り継いで50分の大冒険です。
失敗した(笑)!5歳若いオーツカに任せれば良かった(笑)。最寄り駅を降りてからの風景と動画はこんなカンジ。坂と階段を登りまくりです。今日は左岸と右岸の往復ばっかり。走ったり、登ったり、なんて日だ。
でも、ショーは予想以上に面白かった。こういうレトロテイストのストリート、新鮮です。
フィナーレの映像を、カメラワーク抜群のお兄さんの奮闘と共にお楽しみください(笑)。
21:25 「バルマン」
そして最後は、また左岸に!どないなっとんのや!
「バルマン(BALMAIN)」は、もはやライブ。一般向けのチケットを1500枚販売した、壮大なB to B & Cのランウエイです。
「カサブランカ」からの大移動だったため入場が遅れ、ステージははるか彼方。とりあえず、ピカピカしていることはわかります(笑)。全然見えないので周辺をウロウロすると、ホットドッグやお酒はもちろん、今日だけの限定グッズまで販売中!この売り上げは、HIV/AIDS撲滅のために使われます。
昨日の「ヨシオクボ(YOSHIO KUBO)」含め、ショーにはいろんな形があって良い時代。だって、そこで見せる洋服がダイバーシティーに富んでいるんだから、その器だって多様であるべきです。そんなことを考え、パリメンズは4日目終了です。さぁ、この後は会食だ!