6月22日、晴れ。日差しがちょっと強くなってきたパリ。最高気温は26度。週末になって、交通渋滞も少しはマシになるでしょうか?けれどパリ市内は、収束しつつあるものの、「黄色いベスト運動」は今なお継続中。油断できません。
9:15 「コム デ ギャルソン・シャツ」
「コム デ ギャルソン・シャツ」2020年春夏メンズ・コレクション
今日の朝イチは、「コム デ ギャルソン・シャツ(COMME DES GARCONS SHIRT)」。このブランドは定時きっかり、時には数分フライングする可能性さえあるので、早めにギャルソンのパリ本社に到着です。
今シーズンは、ダイバーシティー(多様性)を意識しているのかな?マルチカラーのストライプシャツに1つだけ、PVCなどの光沢素材を縫い付けたシャツが気になりました。シャツ地のミリタリーベストも新鮮です。
10:30 「サカイ」
「サカイ」2020年春夏パリ・メンズ・コレクション
「サカイ(SACAI)」は、フォーマルで得意のハイブリッド。ほどいたボウタイで繋がった大きさの異なるシャツ、ベルトでくっつけたタキシードとジャケット、ウィメンズではシャツとパンツのトロンプルイユドレスなど、モノトーン主体でエレガントです。
連動してトロピカルテイストもダークなムード。そして皆さん、朗報です。あの「ナイキ(NIKE)」とのコラボスニーカーは、色が変わってさらなる新作が登場しました。コレ、パリでみんな履いてるんだよね〜(笑)。裏山。次は手に入れたい!!
11:20 「ナマチェコ」
「ナマチェコ(NAMACHEKO)」は、スウェーデン拠点のクルド人という兄弟のブランド。見たことない色彩感覚やシルエットを、なかなかにシャープなモードテイストで見せてくれます。マルチカラーの細長いニットを交差したトップスは、北欧っぽい色使いだけれど、手仕事的アプローチは遊牧民のアイデンティティーによるものなのかな?われわれには未知のカルチャーゆえ、粗っぽいクリエイションだと違和感を禁じ得ませんが、心の奥底に“なんか引っかかる”感覚は新鮮です。
12:30 「ロエベ」
「ロエベ」2020年春夏パリ・メンズ・コレクション
「ロエベ(LOEWE)」は、すべてが巨大なシルエット。チュニックやカフタンのようなフォームを、スエードやローゲージニット、デニムなど、さまざまな素材で描きます。シルエットが大きいのは、「皆が今の生活にちょっと疲れているから」と聞いてドキリ。さまざまな素材を使うのは、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が大ハマり中の世界中のクラフツマンシップ、手仕事を盛り込むため。バズを起こすコラボではなく、たどり着きたいゴールに向かうための協業という感覚は、大賛成です!
ちなみに、おデコや耳の飾りは、最近ジョナサンが感じている“コスモ(小宇宙)”の表現らしく。そういえば、どことなく「聖闘士星矢」の世界に通じるでしょうか?「小宇宙は燃えているか⁉︎」。
13:30 「シエス マルジャン」
「シエス マルジャン」2020年春夏パリ・メンズ・コレクション
お次は「シエス マルジャン(SIES MARJAN.以下、シエス)」。いつもはニューヨークでウィメンズメインのコレクションを発表しています。メンズ主体のランウエイは初めて。パリ挑戦も初めてという記念すべき舞台です。
「シエス」と言えば、色使い。メンズも、得意技が炸裂しました。ごくごく淡いスカイブルーや、ピーチメルバみたいなピンクに始まり、ちょっぴり日に焼けたオレンジ、そして(フランスだから?)のボルドーが、コットン、肉厚のシルク、そしてガラス加工でピカピカのレザーを彩ります。アクセントは、ニットにプリントしたゼブラ模様。相当玄人ですが、上々のスタートです。
14:30 「トム ブラウン」
パリメンズのお楽しみと言えば、「トム ブラウン(THOM BROWNE)」。勝手に“「トム ブラウン」劇場”と呼んでいますが(笑)、非常にコンセプチュアルで時に爆笑、時に「???」なランウエイを見せてくれます。
今回も会場に入ると、すでに布団みたいなトロンプルイユスーツのモデルが何人もズラリ。その中央には、赤・青・白のトリコロールカラーに彩られたボールに向かって“おしっこ”する小便小僧です。
あとは動画でご覧ください(笑)。
「トム ブラウン」2020年春夏パリ・メンズ・コレクション
コレは一体、何だったのか?もちろん、スポーツですね。トムが生まれ育ったアメリカ、彼が作り続けるフォーマル、そしてスポーツと言えば、アイビーリーグ⁉︎アイビーのスタイルとは全然違いますが、コレがトム流のアイビーリーグであり、今欠かせないスポーツマインドなんでしょう。
15:30 「ウー ヨン ミ」
「ウー ヨン ミ」2020年春夏パリ・メンズ・コレクション
「ウー ヨン ミ(WOOYOUNGMI)」は、トロピカル。タイダイのデニム&スエットに、南国モチーフの開襟シャツなど、トレンド盛りだくさんです。
フィナーレには娘さんだけが登場。いつもは親子だったけれど、代替わりかな?
16:00 「アミ アレクサンドル マテュッシ」「ドリス ヴァン ノッテン」
さぁ、ここからは展示会周り。ショーは拝見できなかった「アミ アレクサンドル マテュッシ(AMI ALEXANDRE MATTIUSSI)」は、写真で見る限りモードなコレクションにシフトチェンジした印象でしたが、メンズはダボダボパンツやフーディ、フレンチシックなブラック&ホワイトのギンガムシャツなど“ハズし”のアイテムもあって、色柄が控えめになったくらい。一方のウィメンズは、「テーラードとジャケットを売っていこう!!」という気概に溢れた、メンズよりワンランク上のオトナなコレクションです。狙うは、「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」などが存在感を発揮する価格帯(ジャケットはいずれも10万円オーバー、くらい)のマーケット。正直、最初聞いた時はちょっとビックリしましたが、「ジバンシィ(GIVENCHY)」出身のアミは、テーラード上手。オトナっぽいムード、素敵です。でも、アクセサリーはまだまだかな。
「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」の展示会では、「ドリス」と蜷川実花、それにYOSHIROTTENのトリプルコラボ的な洋服をチェック。蜷川さんの写真をYOSHIROTTENがグラフィックに変換した作品を収めたアートジーン「NEW NOIR 2」の中から、ドリスが数点をピックアップして、洋服にのせました。その商品には、こんなタグがつくことに。なんて誇らしいんでしょう!
17:30 朝食?昼食?
朝食?昼食?よくわかんないご飯。今日も10分で終了です。
18:00 「ヘンリック ヴィブスコフ」
「ヘンリック ヴィブスコフ(HENRIK VIBSKOV)」のショーに行こうと思ったら、なんとセーヌ川左岸のショー会場ではなく、右岸のショールームに行ってしまうという大失態(苦笑)。やってしまった……。今から移動しても間に合いそうにないので、ここは気を取り直して、お次の「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING.以下、ホワイト)」へ。早く着いたので、「サルバム(SULVAM)」の藤田哲平デザイナーとビール飲んじゃいました(笑。「ヘンリック ヴィブスコフ」の皆さん、ごめんなさい)。
19:30 「ホワイトマウンテニアリング」
「ホワイトマウンテニアリング」2020年春夏パリ・メンズ・コレクション
「ホワイト」は、ブレることなし。機能素材とマルチポケットなどでユーティリティー(機能性)を盛り込んだアーバンウエアが目白押しです。スパッツ、長靴、ポンチョなどを合わせると、ユーティリティーウエアはスポーツにも使えるし、ゲリラ豪雨にも便利って一目瞭然。「アウトドア以外で、どこでどう使うの?」という質問に答えてくれますね。
20:20 「エルメス」
「エルメス」2020年春夏パリ・メンズ・コレクション
本日のラストは、「エルメス(HERMES)」。トレンドは追わず、永遠のスタイルを追求するメゾンですが、今シーズンはピンクやスカイブルー、クリームイエローが鮮やか。リネンの小さなスカーフは、それ以上に明度・彩度の高いビビッドカラーでフレッシュです。シャツの襟にドローコードを忍ばせたブルゾン、オーバーサイズのジャケットやニット、それにボディーバッグなど、ストリートのムードが力強さを増しました。一方で、エレガントなシルクはやっぱり別格。最後のシルクのジャケットは、どうやって作るんだ?スカーフでおなじみの「エルメス」のシルクで、“ちゃんとした”ジャケットが完成していました。クラフツマンシップ、すごい!!
あ、モデルのUTAくんを発見!!「WWD JAPAN.com」は、彼の思い出の街、銀座でシューティングしながら、これまでとこれからを直撃したインタビューを掲載したばかりです。こちらからどうぞ!!
21:45 ディナー
「エッセンス」の会食は、エッフェル塔を覗くトロカデロ広場で
今日のディナーは、カナダ・モントリオール発のECサイト「エッセンス(SSENSE)」の会食。先日ピッティでスターリング・ルビー(Sterling Ruby)が発表したコレクション「スターリング ルビー スタジオ. LA. CA.(S.R. STUDIO. LA. CA.)」を独占販売中ですが、日本は売り上げ上位TOP5に入っている国だとか。
会食では、「フミト ガンリュウ(FUMITO GANRYU)」の丸龍文人さんとお隣でした。「チームが充実してきたので、次はもっと仕掛けます!!」とのこと。早くも2020-21年秋冬が楽しみになっちゃいます(笑)。