アディダス(ADIDAS)は、6月19日付の「ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)」に掲載された北米本部における多様性の欠如を指摘する記事に対して声明を発表した。
記事は、アディダス北米本部オフィスの従業員数1700人に対し、アフリカ系アメリカ人は75人で、全世界で約340人のバイス・プレジデントのうち、アフリカ系アメリカ人は3人という実態を指摘した。また、カニエ・ウェスト(Kanye West)やファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)、ジェームズ・ハーデン(James Harden)といった著名なアフリカ系アメリカ人を起用するブランドのイメージと会社の現況が矛盾していると、従業員および元従業員のアフリカ系アメリカ人20人が語ったことも報じた。
アディダスは記事に対し「当社は世界中で働くすべてのアディダスの従業員を尊重し、公平で受容力のある環境を実現することに注力している。さまざまなアイデア、長所、興味、バックグラウンドを持つ従業員を雇い、サポートすること、そしてアディダスで働く人々が全力で貢献できる開かれたカルチャーを形成することが重要だ。すべての従業員に重きを置き、彼らが持つ個性的な視点を生かすことで、あらゆるレベルで多様性を獲得することができる。われわれは北米全域の従業員を対象に、インクルージョン(受容)について学ぶ機会を継続的に設け、研修を実施している。多様なバックグラウンドを持つ従業員を新たに雇用して本部の役職に採用するなど、北米全域の多様化を進めている。その分野で当社は進化を遂げてきた。まだまだ改善しなければいけないことは山積みだと理解し、今まさに企業一体となってその問題に取り組んでいる」と声明を発表した。
アディダスの多様性の欠如が問題となる一方で、多文化のデザイナーを支援するハーレム・ファッション・ロウ(HARLEM’S FASHION ROW)はナイキ(NIKE)と提携し、6月27~29日の3日間、有色人種のデザイナーを支援するためのイベントをニューヨークで開催する。同イベントでは、「グッチ(GUCCI)」が“黒人差別”だと非難を浴びた際にブランドイメージを修復する手助けをしたダッパー・ダン(Dapper Dan)や、アメリカ全土から集まった75人の有色人種のデザイナーを迎え、プロダクト管理やブランドイメージを向上させるための戦略に加えて、企業に求められる多様性についても議論される。