三陽商会は、同社初のオーダーメードスーツブランド「ストーリー アンド ザ スタディー(STORY & THE STUDY)」を立ち上げ、9月にリニューアルオープンする三陽銀座タワー内に実店舗1号店をオープンする。ブランディングはGO(東京、三浦崇宏・福本龍馬代表)が手掛け、東大発のファッションテック、サピート(東京、築山英治社長)が提供する身体の3D解析ツールを採寸に活用する。高いフィット感のスーツを、ITによるシームレスな購買体験を通じて提供する。
店頭での接客の流れは、まず客の上半身を正面、側方から撮影し、3D解析ツールで猫背や鳩胸など、身体的特徴を数値化する。測定データに応じて最適なゲージサンプルを客に着せ、フィッターによる着丈・袖丈の調整や仕様のカウンセリングを通じ、客の要望に合ったスーツに近づける。生地を選んだ後には、画面上のアバターで仕上がりのイメージを確認できる。一度店頭で採寸した情報は客の会員情報と紐付けられ、2回目以降はECで同サイズのスーツを購入できる。
主なターゲットは30~40代の男女。価格はメンズのスーツ(4型)4万9000円~、ウィメンズのジャケット(3型)3万3000円~、 ボトムス(パンツ3型、スカート2型)1万6000円~、ワンピース(1型)2万8000円~で、同社ブランドのスーツの平均をやや下回る。「オーダースーツのエントリー層にアプローチしつつ、スーツにこだわる方も納得できるよう、生地グレードやオプションにも幅をもたせる」(三陽商会広報担当者)。
2023年12月期をメドに25億円の売上を目指す。直営店に加え、百貨店などへの出店、完全予約制での運営も視野に入れる。同事業は複数の専門チームと共同開発するオープンイノベーション型で進めており、今後はGO、サピート以外との協業も検討していくという。
近年はメンズスーツ市場が縮小する中、オンワードホールディングスの「カシヤマ ザ・スマートテーラー(KASHIYAMA THE SMART TAILOR)」をはじめ、多くのオーダーメードスーツ業態が業績を伸ばしている。「競合も多い中での参入になるが、デジタル技術とプロの販売員の採寸を組み合わせたカウンセリング、国内工場の丁寧な製造により、ワンランク上の仕上がりで差別化する」。