ラグジュアリーブランドの中古品を扱う会員制ECサイトを運営するザ・リアルリアル(THE REALREAL)が6月28日、米ナスダック(NASDAQ)に新規上場した。初値は公募価格の20ドル(約2160円)を大幅に上回る28ドル(約3024円)を付け、その後も順調に推移。終値は同44.5%高の28.9ドル(約3121円)で、時価総額はおよそ25億ドル(約2700億円)となった。今回調達した3億ドル(約324億円)は事業拡大などに使用される。
2011年にジュリー・ウェインライト(Julie Wainwright)創業者兼最高経営責任者が立ち上げたザ・リアルリアルは、「グッチ(GUCCI)」「シャネル(CHANEL)」「エルメス(HERMES)」などのラグジュアリーブランドのリセールECとして驚異的なスピードで成長してきた。17年11月にはニューヨーク・ソーホーに初店舗をオープンし、現在はロサンゼルスなどに3店舗と全米11カ所に委託品受付オフィス(店舗に併設されているものを含む)を構えている。店舗ではECサイトのアイテムに加えてインテリアも扱っており、委託品受付オフィスには宝石鑑定士や時計職人などの専門家が常駐している。
同社は、「ラグジュアリーブランドを取り扱う既存の2次流通市場は、時代遅れでアクセスしにくく、模倣品であふれている。当社はそうした問題を解決し、ラグジュアリーブランドの“リセール体験”に変革を起こしている」と上場申請書に記載している。18年12月にシャネル(CHANEL)が同社ブランドの模倣品を販売したとしてザ・リアルリアルを提訴しているが、同社はこれを「事実無根」だと全面的に反論。裁判では、「当社は盗品や模倣品の製造・流通元を突き止めるべくブランドや規制当局と協力しており、模倣品は廃棄している」と証言した。
同社の18年の売上高は前年比55%増の2億740万ドル(約223億円)と高い成長率を見せているものの、およそ2億1100万ドル(約227億円)の営業費用が重くのしかかり、赤字が17年の5490万ドル(約59億円)から8470万ドル(約91億円)に拡大するなど未だ利益を出せていない。上場後の株価は好調に推移しているが、今後はウォールストリートの厳しい目が注がれることを考えると、ここが踏ん張りどころだと言えるだろう。
最近では19年3月にリーバイ・ストラウス(LEVI STRAUSS)が再上場し、4月にピンタレスト(PINTEREST)が上場しているほか、6月にはミレニアル世代をターゲットにしたファッションECサイト「リボルブ(REVOLVE)」を運営するリボルブ グループ(REVOLVE GROUP)が上場しており、いずれも予想以上の初値を付けている。