ナイキ リテール サービシズ(NIKE RETAIL SERVICES INC.)の米カリフォルニア州の店舗従業員らが、彼らに課した荷物検査に要した時間に対して賃金を支払わなかったとして同社を相手取り支払いを求め提訴した件について、米国第9巡回区控訴裁判所は原審の判決を覆してクラスアクション(集団訴訟)を認めた。原審は、検査にかかる時間は賃金が発生しないほど短時間だったとの判決を下したが、控訴裁判所は多く場合において長時間かかったと認めるに足りる証拠があると判断し、「“わずかな時間”だったとも言えず、時間の記録を求めることが不合理なほどイレギュラーだとも言えない」と意見を述べた。
控訴裁判所の判決を受けて原告側弁護人のマックス・ギャブロン(Max Gavron)弁護士は「裁判所の判断に満足しており、引き続きカリフォルニア州法に則って追及していく」とコメントした。ナイキからはコメントを得られなかった。
ナイキに対して賃金支払いを求めたのは、米カリフォルニア州の30以上ある小売店舗に所属し時給で働くパートタイムの従業員や元従業員だ。同社は盗難防止のため従業員に荷物検査を課し、従業員は休憩に入る際や退勤時に検査を受けていた。
争点となったのは、その所要時間だ。ナイキは所要時間を調査した専門家を証人として立て、1件当たりに要する検査時間は20秒以下だったと主張する。一方で原告(従業員側)は、ナイキが調査したサンプル数の少なさを指摘し、その結果、実際よりも短い時間が導き出されたと反論した。また、デポジション(証言録取)の際には、ストアマネジャーが数分はかかると証言したことも指摘した。
本件は、カリフォルニア州の店舗に勤めていた元従業員のイサーク・ロドリゲス(Isaac Rodiguez)が2014年に提訴したことに端を発する。連邦裁判所は16年、10年2月以降にカリフォルニア州にあるナイキの店舗にパートタイム勤務していた従業員及び元従業員を集団として認定した。