モンクレール(MONCLER)は7月4日、世界中の従業員450人が一堂に会し、イノベーションのためのアイデアを出し合う“モンクレール・ハッカソン”をミラノで24時間にわたって実施した。同社では初の試みだったが、成功裏に幕を閉じた。
ハッカソンとは、ソフトウエアのエンジニアリングを意味する“ハック(Hack)”と“マラソン”を合わせた米IT業界発祥の造語で、もともとはプログラマーやデザイナーなどで構成された複数のチームが数時間から数日間かけてマラソンのように集中的に作業をし、技術開発などを互いに競い合うイベントを指す。現在は商品開発や人材育成などのため、さまざまな業界で行われている。
レモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)会長兼最高経営責任者は開会のスピーチで、「間違うことを恐れないからこそ、画期的で斬新なアイデアが生まれて大きく育つ。誰か一人だけの力でソリューションが作られることはまれであり、イノベーションの実現には互いに協力し合うことが重要だ」と語った。
モンクレール・ハッカソンでは従業員が37のチームに分かれ、プロダクト、IT、サプライチェーン、サステイナビリティー、若手育成など9つの分野に関するプロジェクトの開発に取り組んだ。イベントの最後には、米国、日本、韓国、欧州・中東・アフリカ、南米の欧州以外のチームによるものを含めた21のプロジェクトが審査員に提出された。この中から「ハッカソン賞」に選ばれた4つのプロジェクトがモンクレールの従業員4155人により数カ月間かけて審査され、優勝したプロジェクトには12月に「デジタル大賞」が贈られる。優勝チームには、グーグル(GOOGLE)やアメリカ航空宇宙局(NASA)などの協力によって設立された米教育機関シンギュラリティー大学(Singularity University)のコースに参加する権利などの賞品が授与される。
ロベルト・エッグズ(Roberto Eggs)最高執行責任者兼最高マーケティング責任者は、「テクノロジーは重要なツールだが、人材はさらに重要だ。当社のノウハウを持っているのは従業員なのだから」と述べた。
パオラ・ペレッティ(Paola Peretti)最高デジタル責任者は、「イノベーションや実現可能性、事業へのインパクトなどを頭に置きつつソリューションを構築するという考え方をしてみてほしい。当社は大きな夢を描き、『これを実現するにはどうすればいいだろう?』と問いかけ、それを実現することで成長してきた」と話した。