「ユニクロ(UNIQLO)」を運営するファーストリテイリングの2018年9月~19年5月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が前年同期比7.0%増の1兆8228億円、営業利益が同3.7%増の2476億円となった。3~5月期の売上収益は同7.3%増の5551億円、営業利益は同9.3%増の747億円。18年9月~19年2月期に続き国内ユニクロ事業は減収減益となったものの、変わらず好調な中国事業と復調したジーユー事業が全体をけん引した。19年8月期の業績予想に修正はなく、過去最高業績を目指す。
国内ユニクロ事業の3~5月の売上収益は同0.5%減、営業利益は同7.5%減、既存店売上高は同0.1%減だった。ただし、前年は5月に開催していた“誕生感謝祭”の大部分を6月に後ろ倒しした影響もあり、「減収減益ながらほぼ計画通り」(岡崎健グループ上席執行役員最高財務責任者)という。注目ポイントは暖冬による上期の苦戦などを受け、「初動の悪い春夏物商品の在庫処分を早めた」点。それにより値引率が高まり売上総利益率は3カ月で同0.3ポイント悪化したものの、「在庫は健全化した」。
海外ユニクロ事業は計画通りの増収増益となった。特に、5月末時点で687店を運営する中国本土が好調で、3~5月の営業利益は「前年同期比20%増を超える増益」となった。「景気が減速する中でも、既存店の成長力も出店の引き合いもこれまでと変わらない。コンセプトである“LifeWear”が認知されていることに加え、“UT”などでの継続的なニュース発信が非常に話題になっている」と分析する。
一方、海外ユニクロ事業の懸念点の1つが韓国だ。日本の韓国向け半導体輸出規制強化に反発し、日本製品の不買運動が徐々に広がっていると報道されているが、「短期的に全く影響がないとは言わないが、仮に韓国事業が今後奮わなくても、グループ全体の19年8月期業績に大きく影響することはない」。また、上期に黒字転換していた米国事業は、低気温により3~5月は再び赤字となった。「米国事業は今期黒字化を目指していたが、達成は難しい。経費削減やオペレーション改善で赤字の内容は改善しているが、長期で見て米国市場の顧客ニーズに基づいた商品開発ができていない」という。
ジーユー事業は上期に続き絶好調だ。3~5月の売上収益は同12.1%増、営業利益は同105.8%増と倍増を達成。トレンド全方位型の提案から、マストレンドにフォーカスするとともに型数を絞り込み、QRも連動した生産体制に変えてきたことで、オーバーサイズのTシャツやスエットトップで「数百万点を販売する大ヒットとなった」。
2019年8月期通期での業績は、売上収益が前期比8.0%増の2兆3000億円、営業利益が同10.1%増の2600億円と予想する