eBayが運営する世界的な巨大ショッピングモール「eBay(イーベイ)」と国内モール「Qoo10(キューテン)」が日本におけるファッション分野でのテナントの拡大、顧客の獲得に向けてそれぞれ動き出している。ここに来てサービスを強化するのにはどのような背景があるのか、実際にどんな施策を打っているのか。それぞれの担当者に聞いた。
190カ国に広がる10兆円市場で
日本ブランドに商機アリ
eBayは1995年に米国で設立、現在は190カ国でサービスを提供している。12カ月以内に何らかの取引をしたアクティブバイヤーの数は1億8000万人、年間の取引高は10兆6000億円に達している。日本から海外への販売は、56%がアメリカ、18%がヨーロッパで、アジアは16%だ。ただ「割合としては小さいが、タイや台湾に向けた販売は急速に拡大している」(中里力カテゴリーマネジメント部部長)。扱っている商品は新品と中古の両方があり、中古が60%を占めている。
思っている以上に低い!?
国内から出品されているeBayのカテゴリーの中で、最も大きいのがファッションだ。近年のインバウンドの拡大も、海外からの売り上げ拡大に寄与しているという。eBayに出店している古着関連の店舗で最大規模のラグタグは、海外のeBayのサイト内で名前を検索されていることが増えているという。「表参道のショップなどでは、訪日外国人の来店が増えている。彼らは帰国してからも、ラグタグで商品を買いたいとショップ名を検索しているようだ」(中里部長)。海外から日本のブランド名が検索されていることも増えており、「日本発祥のブランドが毎日100種類以上検索されている。中でもストリートウエアや原宿のウィメンズ系、中古のハイブランドがよく売れている」(同)。
eBayを使った海外との取引にはハードルはないのだろうか。中里部長は「さまざまな規模の販売店が利用しており、海外販売だからといって通関手続きなどが必要なわけでもない。英語での出品や取引のやり取りに不安を感じる出店者は多いが、翻訳ソフトを使えばほぼ問題なく意思疎通が出来る。日本国内のサポート体制もあるので、安心してご利用いただけるはずだ」と話す。
企画力と柔軟性に自信、
有力ブランドの導入を強化
「キューテン」は2010年から日本でのビジネスを開始しており、現在の会員数は約1200万人、商品登録数は1800万。ファッションとビューティに関連したカテゴリーが商品の半分以上を占めており、女性の購入者の割合が74%と高い。75%がモバイルアプリからの購入である点も特徴の一つだ。加えて、10代後半〜20代後半の購入者の割合が総合ショッピングモールの中で圧倒的に高い。若年層を獲得するためのマーケティング活動も積極的に行っている。
顧客とサポートスタッフは同世代
「キューテン」がeBay傘下に入ったのは2018年5月。遠藤真也「キューテン」事業開発室長は「新体制になってマーケティングやテレビCMによって一気に知名度が上がった。モールの規模が大きくなり、売り上げも伸びた」と語る。店舗開設についての問い合わせも増えているという。
キューテンが発行する「カートクーポン」もユニークだ。使い方は一般的なクーポンと同じだが、カートクーポンによる値引き分は全てキューテンが負担しているのだ。クーポン発行のタイミングに合わせて、大規模なセールイベントを企画することも多い。「セール期間中には特に、購入者はテナントの値引き分と“カーポン”の値引き分により、通常よりかなり安い価格で商品を購入できる。テナント側も、われわれが引いた導線によって多くの顧客を獲得できるので、売り上げを大きく増やせる」(遠藤室長)。キューテンのサポートスタッフは客層と同じで若く、新鮮なアイデアを出すことも多い。「僕らの特徴はとにかく泥臭く、テナント様との距離が近いこと」。
eBay Japan 事業開発室
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