米バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK以下、バーニーズ)は14日、再建のための選択肢を検討していることを明らかにした。「われわれの取締役会と経営陣は財務健全化と長期的なビジネスの成長のために有効な方法を検討している」と声明を発表。選択肢には投資家からの出資や借金、破産法適用申請が含まれる。13日に米CNBCが破産法適用申請の可能性を報じていた。オーナーであるリチャード・ペリー(Richard Perry)は近年バーニーズの売却先を探してきたがうまくいかなかった。
バーニーズは多額の負債を抱えているわけではないが、1600万ドル(約17億円)から3000万ドル(約32億円)以上にも跳ね上がったマディソンアベニュー旗艦店の年間家賃のほか、ビバリーヒルズの家賃上昇が重くのしかかっている。家主は両店共にアスケナージ(Askenazy)一族だ。
マディソンアベニュー旗艦店はレストランの「フレッズ(FRED’S)」こそ常に富裕層の客で賑わっているが、売り場は広すぎ、店内は客足が少なかった。加えて、数シーズンにわたって買い付け先などに対する支払い遅延があり、流動性の問題が懸念されてきていた。そうした状況について、バーニーズの経営陣はECの伸びによってビジネスは概ね順調だと説明してきていた。しかし、バーニーズのECは明らかに競合他社の後塵を拝していた。
ユニークな品ぞろえでユーモラスかつラグジュアリーなイメージを築き上げたバーニーズだが、そのネームバリューに乗じた多数の大型店出店で1996年に連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、再建している。その後も世界中の新進デザイナーを発掘し、広く発信する専門店として評価されてきたが、「ネッタポルテ(NET-A-PORTER)」や「マッチズファッション(MATCHESFASHION)」「ファーフェッチ(FARFETCH)」といったEC専業の小売りとの競争が激化してきていた。
さらに3月、大型都市開発ハドソンヤード(HUDSON YARDS)にニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)が出店。10月にはコロンバスサークルにノードストロム(NORDSTROM)のウィメンズ館が開館予定で、発祥の地であるニューヨークでの競争も激しくなっている。
バーニーズはニュージャージー州に年内開業予定の大型商業施設アメリカン・ドリーム(AMERICAN DREAM)と、23年か24年にマイアミビーチのバルハーバーショップス(BAL HARBOUR SHOPS)に出店を計画しているが、今回の再建の動きがどう影響するかは不明。ダニエラ・ヴィターレ(Daniella Vitale)最高経営責任者のコメントは得られなかった。
なお、日本で「バーニーズ ニューヨーク」を運営するバーニーズ ジャパンはセブン&アイ・ホールディングスの完全子会社で本国と資本関係がないため、直接的影響は受けない。