ECサイトの構築を軸にしたブランディングエージェンシーのフラクタは、7月29日から新しい受注形態「One by One(ワン・バイ・ワン)」を開始する。人月による定額制で契約し、契約期間内であれば提供するサービス内容を柔軟に変更可能、という内容だ。これまでの受注形態とはどんな点が異なり、ユーザーにはどのようなメリットがあるのだろうか。サービスを考案した村中花梨ブランドストラテジックプランナーと入江功テクニカルディレクターに、その狙いを聞いた。
新形態の
“ワン・バイ・ワン”とは?
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「ワン・バイ・ワン」を利用する場合、まず「0.5人月×3カ月」といった形で人月と利用期間を決める。プロジェクトの最初の段階で、「店頭のビジュアルがいつも同じものになってしまう」といった解決すべき課題の共有は行うが、期間内に行う細かな作業について決める必要はない。村中氏は「プロジェクトの方向性が決まっていなくても構わない。“課題をどう解決するか?”から一緒に考えられるので、まずはご相談いただきたい。工数ベースの契約なので追加料金は発生しない」と語る。
フラクタはディレクター、プランナー、アートディレクター、ブランディングディレクター、デザイナー、コピーライター、テクニカルディレクターといったさまざまな専門スキルを持った人材を抱えている。ワン・バイ・ワンでは全ての職種の人月単価を同一にしているので、ユーザーは契約した人月の範囲で、必要なスキルを持つ人材をプロジェクトに自由にアサインすることができる。
以下ではこれまでフラクタが手掛けたブランドレギュレーションの策定からロゴ作成、商品の撮影といったクリエイティブ、ウェブサイト作成などのデジタル施策、それらをクライアントの社内で継続的に行っていくための社員教育など、多岐にわたる事例を振り返る。
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「トラキチ」
「TORAKICHI(トラキチ)」は、埼玉にある老舗和菓子店「梅林堂」の洋菓子の新ブランドだ。フラクタは「トラキチ」というブランド名と、大まかな商品の方向性しか決まっていなかった初期段階からブランディングをサポート。まずクライアントが持っていたイメージをディスカッションによって具体化し、「イメージボード」を作成。その後、ブランドロゴや包装紙のデザイン、ウェブサイト制作などを行った。また、今後クライアントの複数のデザイナーが自らデザインを行ってもブランドイメージがぶれないよう、ブランドレギュレーションの策定も。プロジェクト期間は約5カ月。フラクタからは、アートディレクター2名、ディレクター、ブランディングディレクター、サイトのコーダーの計5人が参加した。
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「オブジェクツアイオー」
レザー製品ブランド「OBJCTS.IO(オブジェクツアイオー)」のケースでは、ティザーサイトとサイトロゴ作成の依頼を受けたことからプロジェクトがスタート。その後、受注内容が拡大し、クライアントの持つコンセプトやイメージをもとにブランドレギュレーションを策定。クライアントがマーケティング戦略を決める一方、展示会ではフラクタがブランドの世界観を体験できるインスタレーションや動画を制作した。サイト構築後も、クライアントが制作会社にレギュレーションに沿ったクリエイティブを発注できるよう、社員教育も担当。社員教育は、90分の授業2コマを週2回、3カ月にわたって実施。プロジェクトにはディレクターとアートディレクター、1名ずつを中心にスポット的に必要な人材も加わった。
Case3
「グリローズ」
土屋鞄製造所が2019年にスタートしたランドセルブランドの「GRIROSE(グリローズ)」では、「デジタルコミュニケーションを構築してほしい」という依頼を受け、まずはティザーサイトを構築。「グリローズ」のブランドディレクターがコンセプトや方向性を決め、フラクタはサイトやインスタグラムの掲載用にブランドイメージに沿った写真を一部撮影した。サイト構築後はカタログ配送の際の倉庫会社とのデータ連携や、ウェブでの広告運用などをサポート。人材教育も請け負い、デジタル周りをクライアントが自ら運営できるよう、コーディングなどをレクチャーした。プロジェクトの期間は6カ月程度で、ディレクター、アートディレクター、テクニカルディレクターの計3名が参加した。
フラクタ
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