ビョーク(Bjork)によるVR(バーチャル・リアリティ)映像作品の展示会プロジェクト「Bjork Digital ― 音楽のVR・18日間の実験」が、6月29日~7月18日まで日本科学未来館 7階で開催中だ。会場は、VRコンテンツ、アプリ体験型教育スペース、シネマルームの3エリアで構成。VRコンテンツのエリアでは、「ストーンミルカー」「マウス マンタラ」「ノット ゲット」の3つのミュージックビデオのVR映像を体験することができる。
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最新アルバム「ヴァルニキュラ」のファーストトラックである「ストーンミルカー」は、故郷アイスランドのお気に入りのビーチで撮影された作品。風が吹く海沿いで、黄色の衣装を着用し美しく舞い歌うビョークを間近で感じることができる。
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「マウス マントラ」は、ビョークが声帯ポリープの除去手術で一時的に声を失った時の思いを描いた楽曲。歌っているビョークの口の中を気鋭アーティストのジェシー・カンダ(Jesse Kanda)が実際に撮影し、制作。口の中を生々しく映した。
(c)REMIND VR
日本初公開となる「ノット ゲット」は、"大きな蛾の女性"がテーマ。映像の最後に女性が仮面へと変身する映像は、普段からビョークの衣装制作などを手掛けるNYの刺しゅうアーティストであるジェームス・メリー(James Merry)によるもの。
(c)Santiago Felipe
アプリ体験型教育スペースでは、アルバム「バイオフィリア」とともに生まれたアプリを使い、可視化された音楽を体験することができる。3年前に開催された「バイオフィリア トウキョウ」では、同様のアプリを使用した楽曲制作のワークショップが小学生・中学生を対象に開かれた。このアプリは現在、北欧ではカリキュラムとして採用している学校もある。
(c)Santiago Felipe
シネマルームでは、1993年のデビューからこれまで制作したミュージックビデオのセレクションを放映。「アイ ミス ユー」や「ヨーガ」「オール イズ フル オブ ラブ」をはじめとした19作品は、全てリマスターされ、7.1chサラウンドシステムと大画面で体感することが可能だ。
READ MORE 1 / 1 圧巻の生パフォーマンスと日本初となるトークショー
また、展示会に先駆け28日には、生パフォーマンスの披露と日本初となるトークショーが行われた。ステージは、日本科学未来館の象徴となっている球形の地球ディスプレイ「ジオ・コスモス」の前。
(c)Santiago Felipe
ビョークは、建築家でありデザイナーであるマサチューセッツ工科大学メディアラボの教授を務めるネリ・オックスマン(Neri Oxman)がデザインを手掛け、3Dプリンターで60時間かけて制作された"Rottlace"マスクを着用し、最新アルバム「ヴァルニキュラ」収録曲の「クイックサンド」を披露。公開収録も兼ねたこのパフォーマンスは、360度VR映像で全世界にライブストリーミングされ、この模様は同展の世界各都市での巡回展示で作品として公開される予定だ。
(c)Santiago Felipe
パフォーマンス後には、ビョーク本人に加え、日本科学未来館キュレーターの内田まほろ、ストリーミング演出やライティングを手掛けた「ライゾマティクス リサーチ(RHIZOMATIKS RESERCH)」の真鍋大度、イベント制作を担当した「Dentsu Lab Tokyo」の菅野薫、映像演出の「P.I.C.S. management」のTAKCOMを交えたトークショーを開催。コラボレーションのためにNYやアイスランドにも足を運んだ菅野薫は、今回のイベントを「肉眼での体験」「VR映像のライブストリーミング」「ミュージックビデオとしてのアーカイブ化」の3つの意味を含む実験と表現。ビョークは、「クイックサンド」を披露した理由について「曲の焦燥感と短さが今回のイベントにはピッタリだと感じた。生で歌うことで、焦燥感をより掻き立て、ストロボのようなリズムがライブストリーミングで観ている人にも伝わると思ったから」と述べた。
また、いつの時代でも先端のテクノロジーを使うことについて「ミュージシャンである以上、相手に人間味・人間臭さを伝えることが重要だ。生身の人間を表現出来る可能性を探るのは、とてもエキサイティング。表現方法は、生楽器でもテクノロジーでも感情表現を伝えるツールに変わりはない。その点、今回の作品は、とてもエモーショナルな部分が表現できていて満足している」と終始明るいテンションで語った。
(c)Santiago Felipe
(c)Santiago Felipe
(c)Santiago Felipe
展示会の初日となった29日には、オープニングパーティーが開催された。ビョーク本人がDJを行い、沖縄やインドなどのアジア民謡からビートミュージックまで、凝縮された彼女の幅広い音楽への感性が披露。3時間にも及ぶDJプレイは、独特な照明も相まって、来場者を幻想的な世界観へと導いた。
■イベント概要
日時:6月29日~7月18日 10:00~17:00
※ただし金土日:7月1~3日、8~10日、15~17日は22:00まで開催
休館日:7月5日、12日
会場:日本科学未来館 7階(東京都江東区青海2-3-6)
料金:2500円(税込)
入場券:6月11日 10:00~ チケットぴあで発売
※入場時間指定制、整理番号付
※小学生以上は入場券が必要
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