仏百貨店ギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE以下、ラファイエット)は、仏老舗ジュエラーのモーブッサン(MAUBOUSSIN)の株式過半数を取得する計画を発表した。
ラファイエットは、「今回の取引は当グループのジュエリー事業をさらに強化し、『モーブッサン』を次の段階へと発展させることができるだろう」と声明文を出した。
百貨店はECの台頭などによって世界的に厳しい時代を迎えているが、ラファイエットはミレニアル世代を中心とした若年層を引き付けるための工夫を凝らした新店をシャンゼリゼ通りにオープンするなど、伝統的な百貨店ビジネスを改革しようと試みている。その一環として、ウオッチブランドの「ルイ ピオン(LOUIS PION)」やジュエリーブランドの「ゲラン ジョワイユリー(GUERIN JOAILLERIE)」を傘下に収めているほか、マレ地区にオープンした高品質なイタリアの食材を扱う総合フードマーケット「イータリー(EATALY)」とストリートウエアブランド「ア ベイシング エイプ(R)(A BATHING APE(R))」のフランスにおけるライセンスを保有している。
1827年に誕生した「モーブッサン」は、「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」や「ショーメ(CHAUMET)」などと共に“グランサンク”と呼ばれる世界五大宝飾店の一つ。2002年にスイスの投資家ドミニク・フレモン(Dominique Fremont)がオーナーとなり、同氏がアラン・ネマルク(Alain Nemarq)を会長に起用して現在に至っている。ネマルク会長が打ち出した、1000ドル(約10万円)程度からの“女性が自分のために購入する、手の届く価格帯のラグジュアリージュエリー”を手掛けるという新たな戦略が奏功して業績を伸ばしている。売上高はおよそ8000万ユーロ(約97億円)で、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は1000万ユーロ(約12億円)以上。現在フランス国内で75、国外で20の店舗を運営している。
日本では06年に本国100%資本でモーブッサン・ジャパンを設立。18年に東京・表参道にコンセプトショップを出店し、3万円からのエントリー価格の商品を販売している。現在、百貨店内に直営店9店舗を運営しており、地方の百貨店10店舗およびその他30店舗に卸をしている。09年に日本初となる旗艦店を銀座にオープンした際は、先着5000人にダイヤモンドのルース(裸石)を無料でプレゼントするキャンペーンを実施して話題を呼んだ。