ジュンとマッシュホールディングス(HD)、デイトナインターナショナルは、ECデパートメントストア「スタイル ヴォイス ドットコム(STYLEVOICE.COM )」を11月7日に立ち上げる。16日に都内で開かれた記者会見で発表した。3社は共同出資する新会社スタイル ヴォイスを6月に設立し、社長には元幻冬舎の片山裕美氏が就任した。片山氏は幻冬社で「ジンジャー(GINGER)」の創刊編集長、その前には主婦の友社で「レイ(Ray)」「ミーナ(mina)」で編集長を歴任してきた。その経験を生かしてファッションだけでなくビューティやフードなどライフスタイル全般をカバー。モデルやスタイリストなど外部のキュレーターによる読み物コンテンツなどを武器に、メディア並みの発信力を備えた新しいECを作る。
昨年12月にジュンとマッシュHDの2社が折半による合弁会社を設立すると発表していたが、新たにデイトナが加わることになった。出資比率は非公開。スタイル ヴォイスは3社の出向社員数人でスタートし、今後人員を増やしていく。3社の取り扱いブランド以外では、「ディーンアンドデルーカ(DEAN&DELUCA)」を展開するウエルカム、水着ブランド「アリシアスタン(ALIXIA STAM)」を展開するEXJ、“ベアブリック”のメディコムトイ、寝具の西川、アイウエアのアイヴァンなどが決定しており、計約20社、45ブランドが出店予定(7月16日現在)。初年度は30〜40代の高感度な女性を主なターゲットに、それ以降は徐々にマスを含めた男女へ広げる。
ECサイトは冒頭で性別を選び、さらに「ファッション」「ビューティ&ウェルネス」「ライフスタイル」のカテゴリーを選択すると各トップページにジャンプする。トップページの上部にはキュレーターの顔窓が配置され各人が発信するコンテンツにアクセスできるほか、商品ぺージにも関連する特集記事などを紐付ける。「広告臭をさせず自然な形で商品の魅力をお客さまに届けられるような、雑誌のコンテンツと同等かそれ以上の内容にする」(片山氏)。
同ECについてはジュンとマッシュHDが昨年からプロジェクトを立ち上げて事業化へ準備を進めてきた。佐々木進ジュン社長と近藤広幸マッシュHD社長の間には、「ECの発達により、買い物体験が自動販売機のようにつまらなくなっている」という共通の思いがあったという。「お客さまが求めているのは、リアルショップのスタッフに教えてもらえるような、カルチャーやスタイルといった新しい“発見”がECで得られること」と佐々木社長。情報が拡散していて買い物がしづらい、安売りによりブランドイメージが低下するといった既存ECモールの課題を解決するため、出店ブランドの選別とコンテンツによる深掘りで、客の買い物体験の上質化とブランド価値の向上を目指す。また、サイト内での新ブランドの立ち上げや出店ブランド同士のコラボなどを後押しすることで、「マーケティングの実験室のような場にする」(近藤社長)という。
デイトナの参画理由に関して近藤社長は、「売り上げの約半分をECが占めるという点からも学べることは多く、またファッションを単にビジネスと捉えるのではなく、文化を作っていこうという姿勢に共鳴した」と説明。鹿島研デイトナ社長も「ファッションを通じてワクワク、ドキドキを伝えられる新しいECデパートに魅力を感じた」という。
売上高は初年度20億円、3年後50億円を見込んでおり、5年後をメドにスタイル ヴォイス社の上場を目指す。