オークションハウスのサザビーズ・パリ(SOTHEBY’S PARIS)は今秋、「メゾン マルタン マルジェラ(MAISON MARTIN MARGIELA)」(現「メゾン マルジェラ」)の展覧会およびオンラインオークションを開催する。
9月19日から10月1日までの期間中、プライベートコレクションの洋服やアクセサリー220点ほどが競売に出される。中でも注目したいのが「メゾン マルタン マルジェラ」2006年春夏アーティザナル・コレクションから出品される予定の、トランプをつなぎ合わせて制作されたメンズベストだ。同様のものが5着しかないうちの1着で、8000~1万ユーロ(約97万~121万円)の落札推定価格となっている。
ほかにも1997年春夏の‟ストックマン(STOCKMAN)”コレクションのリネンジャケット、99-2000年秋冬のダウンコート、そしてアーティザナル・コレクションのボウタイでできたトップスなどのレアアイテムが出品される予定だ。出品アイテムは、パリ・ファッション・ウイークに合わせて9月20日から25日まで展示される。
昨年、ガリエラ美術館(Palais Galliera)とパリ装飾芸術美術館(Les Arts Decoratifs)で行われた2つの回顧展の直後となる今回のオークションは、1989年の「メゾン マルタン マルジェラ」の誕生から30年、そして、公の場に姿を見せることがほとんどなかったマルタン・マルジェラ本人がブランドを離れた2009年から10年という二重の意味でのアニバーサリーイヤーとなる。
今年はライナー・ホルツェマー(Reiner Holzemer)監督が手掛けるドキュメンタリー映画「Martin Margiela in His Own Words」(邦題未定)も公開される。
この3月に仏競売会社アールキュリアル(ARTCURIAL)でオークションにかけられた、約270点におよぶマルジェラが手掛けたビンテージアイテムは、推定価格のおよそ倍の27万5000ドル(約2975万円)近くまで吊り上がり、売り上げの80%は外国人バイヤーによる落札であった。マルジェラのスローファッション哲学とアップサイクルを取り入れた知的なアプローチのデザインは、特に日本人バイヤーに人気だ。
同オークションで一番人気だったアイテムは、透明の衣類カバーから制作された92-93年秋冬のプラスチック製ドレスで、実際に着用することは不可能ながら、推定価格の10倍以上の26万662ドル(約288万円)で落札された。