「リダン(RE/DONE)」は2014年にロサンゼルスでスタートした、「リーバイス(LEVI'S)」が唯一公認するリメークブランドだ。日本ではロンハーマン、ユナイテッドアアローズ、伊勢丹、阪急などで販売している。なぜ「リーバイス」は「リダン」にだけ公認を与えるのか。「リダン」ならではの特別性とは?2人の創業者、ショーン・バロン(Sean Barron)とジェイミー・マズール(Jamie Mazur)に聞いた。
WWD:なぜ「リーバイス」は「リダン」にのみ公認を与える?
ショーン・バロン(以下、バロン):初め僕らはリメークジーンズをセレブたちのために作っていた。それがパパラッチに写真を撮られたり口コミで広がったりして、そのうちに「リーバイス」側からアポが入った。
WWD:しかし「リーバイス」のリメークは他のブランドも行っている。
バロン:「リダン」はスケールが違った。最初からビジネスを考えていたし、「リーバイス」から声が掛かった時点で1万本以上を生産していた。ちょうど法人化しようというタイミングだったので、「リーバイス」もタッグを組みやすかったのではないか。
ジェイミー・マズール(以下、マズール):「リーバイス」は神様ともいえるブランド。恐れ多いことだったが、逆に「失敗できない」と覚悟した。
バロン:それに「リダン」の消化率の高さは「リーバイス」を安心させたと思う。
WWD:「リダン」の特別性は?
マズール:他のブランドのリメークは“ちょっといじる”レベルかもしれないが、われわれは文字通りバラバラに解体して、そこから再構築する。複雑だし、手が掛かっている。それにリメークに関しては全てメード・イン・ロサンゼルスだ。
WWD:「リダン」の日本での販売価格は?
バロン:「リーバイス」のリメークジーンズが4万円台、パッチワークなど手間が掛かったものだと7万円ほどだ。
WWD:ブランドデビュー時、素材となる「リーバイス」古着は1950~90年代のビンテージだった。今も変わらない?
マズール:今は1980~2000年代のものが多い。古さより、ヒゲなど経年変化の美しさに重きを置いている。
WWD:「リダン」にはリメーク以外のラインも存在する。
バロン:その通りだ。われわれは“リメーク”“オリジナル”と呼び分けている。“オリジナル”のジーンズは3万円台が中心だ。
WWD:ストレッチデニムは使わない?
マズール:“オリジナル”では使っている。一方で“リメーク”はノンストレッチのみにして、コットン100%のよさを伝えようと思っている。
WWD:“リメーク”と“オリジナル”、ビジネスとしてはどちらが大きい?
バロン:“オリジナル”の方が大きいが、“リメーク”はわれわれのアイデンティティーであり、大事にしている。卸先も厳選している。
WWD:「リダン」の購買層について教えてほしい。
バロン:今はウィメンズのみの展開で、アメリカでは中学生から問い合わせの電話があったり、70代のミセスが買ってくれたりと幅広い。日本だと20~30代が中心だ。
WWD:オリジネーターたる「リーバイス」もセルフリメークライン“リーバイス オーソライズド ビンテージ(LEVI'S AUTHORIZED VINTAGE)”をスタートさせた。どう思う?
マズール:非常にいいアイデアだと思う。応援したい。
WWD:「リーバイス」が「リダン」に古着を供給することはありえる?
バロン:ない。
WWD:今後の「リダン」の方向性について聞きたい。
バロン:われわれはジーンズカンパニーではない、ブランドだ。今後はTシャツ、ジャケット、ブーツなどデニム以外のコレクションを増やしていきたい。
マズール:日本の生産現場ともつながりたい。だから6月に岡山のデニム工場や和歌山のメリヤス工場を視察してきた。1日でも早く、彼らと協業したアイテムを届けたい。「リダン」は作り直すという意味を持つ。だから今後は、インテリアや家そのものをリノベーションするようなアクションもしたい。それこそサステイナブルだと思う。
バロン:数カ月前にイタリアに倉庫を造った。今後はヨーロッパ戦略も加速させたい。