インポーターの三喜商事は、子会社のナイツブリッジ・インターナショナル(以下、ナイツブリッジ)を8月1日付で吸収合併する。2001年に設立されたナイツブリッジは近年、「ハロッズ(HARRODS)」「ポール カ(PAULE KA)」などの取り扱いブランドが終了し、今年7月末には「エリザ(ELISA)」の取り扱いも終了して残るのは「オールド イングランド(OLD ENGLAND)」のウィメンズのみとなることから、同ブランドのメンズを手掛ける三喜商事に同社を組み入れ、メンズとウィメンズの総合力を高めることに戦略の舵を切った。11月1日にオープンする東京・渋谷スクランブルスクエアに、約75平方メートルの店舗を出す予定だ。
三喜商事はここ数年の売上高が80億円台で推移していたが、18年に取り扱いをスタートした「アレキサンダーワン(ALEXANDERWANG)」と「ミッソーニ(MISSONI)」が貢献し、19年6月期は92億円となった。今期はナイツブリッジの吸収合併効果で108億円を見込んでいる。熊谷嘉延・三喜商事取締役経営企画本部本部長は、「攻めの経営に転じて、売り上げが拡大している。『アレキサンダーワン』と『ミッソーニ』はリブランディング中で、さらなる成長を期待しており、『ミッソーニ』は路面店オープンも視野に入れている」と話した。「ミッソーニ」は伊勢丹新宿本店と伊勢丹サローネ(ウィメンズ)、三越銀座店(メンズ)でポップアップショップオープンを予定しており、阪急メンズ大阪に初のメンズショップを8月21日にオープンする。また、「アレキサンダーワン」は11月にオープンする渋谷パルコに出店が決まった。
そして5月に、イタリア食材などの輸入販売を手掛ける大阪の会社メモスを買収する異例の動きを見せた。熊谷取締役は「当社は“ライフスタイルに新しい夜明けをもたらす”という新しい企業理念を掲げている。ファッションだけでなく、食を融合した新しい発想の事業を拡大したい。イタリアブランドとは三喜商事の創業当初から約60年の取引があり、年間延べ100人の社員がイタリアに出張している。イタリア文化には、新しいライフスタイル提案のヒントがある。今後、衣食住を融合した空間を作りたい。日本で一番面白いライフスタイルを提案できる会社になることが目標だ」と話した。メモスはイタリア産を中心としたワイン、パスタ、オリーブオイルなどを百貨店、スーパー、レストランなどに卸しており、売上高は25億円。
三喜商事は昨年8月に東京本社を青山に移転し、心機一転して新しい企業像に挑戦している。