スマートミラー「ノベラ(NOVERA)」の開発などを行っているノベラは、スマートフォンを使用しての肌診断と、自身の肌に合った化粧品をブランド横断で提案してくれるアプリ「ビューティ(VIEWTY)」を、9月頃をめどにリリースするが、本リリースを前にβ版の先行体験者の募集を開始した。今回なぜ「ビューティ」を開発したのか。「ビューティ」は何を目指すのか。その狙いを遠藤国忠ノベラCEOに聞いた。
WWD:アプリ「ビューティ」の名称の由来は?
遠藤国忠CEO(以下、遠藤):見るという意味の“view(ビュー)”と“Beauty”をかけて「viewty(ビューティ)」という名称にしました。
WWD:「ビューティ」ではどういったことができるのか?
遠藤:スマホを使った肌診断と、その肌に合った製品のパーソナルな提案です。「自分の肌に合った化粧品を知りたい」「多くの化粧品があって何を買ったらいいか分からない」といった悩みを持つ人も多く、それを解決できればと思っています。百貨店の化粧品カウンターだとそのブランドの製品しかすすめられませんが、この「ビューティ」ではさまざまなブランドから自分に合った製品を提案してくれます。
WWD:実際にはどう使用する?
遠藤:「ビューティ」のアプリを起動して自身の顔を映すと、その画像をもとに、美容のプロが顔や肌状態を見てくれているかのように、その人に最適な化粧品を提案してくれます。アプリに搭載している“肌検知AI”は、現場で活躍されている美容のプロ100人以上にさまざまな肌データを見ていただいた上で、どのような判断を行うかという視覚的な判断を学習させていて、化粧品カウンターで見てもらっているかのような体験を可能にしています。今後、多くの人がこのアプリを利用すればするほど、肌検知精度並びに提案の納得感がさらに向上します。また、光の加減による見え方の違いや使用するスマホによって差異が出ないようにも学習させ、肌測定の精度を向上させていきます。
WWD:製品を提案するにはその製品のデータが必要だと思うが、化粧品メーカーから提供してもらうのか?
遠藤:基本的には化粧品メーカーからいただいたものと、自分たちで集めた「こういう肌の人はこの製品を使ってよくなった」といったデータを集めて、それを総合的に判断しておすすめするような仕組みになっています。その人に合った製品と、同じ肌質の人がどんなものを使用しているかが分かるようになっています。
WWD:肌データは数値で見られる?
遠藤:6項目くらいに分けて、それぞれデータで見られます。今の肌がいい状態なのか、自分に近い年齢の人と比べるとどうなのかが分かります。自分では敏感肌だと思っていたけど、実際診断してみると違うといったケースも多いと思いので、自分の肌を知ることが重要です。
WWD:著名な声優もキャストとして起用している。
遠藤:梶裕貴さん、諏訪部順一さん、福山潤さん、鳥海浩輔さん、柿原徹也さんによるボイス肌測定が可能となっています。本リリース後は有料ですが、β版では無料で体験できます。また「ノベラ」の発表時に要望が多かった女性キャストには渡部紗弓さんを起用しています。
WWD:本リリースの前にまずβ版の先行体験者を募集している。
遠藤:8月23日11時59分まで先行体験者を1000人ほど募集し、実際に8月26日12時~9月2日11時59分の期間体験していただく予定です。そのデータをもとに、本リリースを9月中にできればと考えています。
WWD:そもそも昨年10月11日にスマートミラー「ノベラ」の予約を開始していたが、そのスマートミラーの発売より先にアプリをリリースする理由は?
遠藤:ご予約いただいた皆さまには、「ノベラ」の発売が延期になってしまい大変申し訳ないと思っています。先にアプリ「ビューティ」をリリースする経緯としては、「ノベラ」では初日から多くの予約をいただきましたが、その際に「自分は自分の顔について分かっているようで、全然分かっていない。周りから言われる言葉はお世辞に聞こえる。でもこの鏡であれば正直に答えてくれる」など、この「ノベラ」という鏡に対して客観性・公平性とともに、日常で気軽に利用できるデバイスとしての期待が多く寄せられました。この期待に応えるためにも、根幹を支える技術であるAIを活用した肌検知の精度、およびその技術をもとにした化粧品提案の納得感をより高いレベルにする必要があると判断しました。そこで、まず「ビューティ」を多くの人に利用してもらい、そのデータを「ノベラ」の開発に生かす方がよりよいものになるのではないかと考え、今回アプリ「ビューティ」を先にリリースし、裏側のAIやレコメンド技術をさらに強化していく決断をいたしました。
WWD:スマートミラー「ノベラ」はいつ頃の発売を考えている?
遠藤:「ビューティ」の利用状況を踏まえてデータに何が足りないかを検証し、「ノベラ」としての機能や体験設計を検討してあらためてご案内させていただきます。