ファッション

「店頭から館のSNS動線が弱すぎる!!」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週の(今回は先週のw)ファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャーに勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:p24-25「プロが語る店舗デザイン 建築家ストア探訪』

読み解きポイント「“館の人格”をもっと伝えて!」

ニュースのポイント

 ファッション好きの二人の建築家がオープン、もしくはリニューアルした商業施設を探訪する不定期新連載がスタート。建築家ならではの目線で設計に基づく動線や回遊性、館全体のフロアコンセプトなどを考える。初回は今年3月に改装したばかりの東京の2大メンズ百貨店である、伊勢丹新宿本店メンズ館と阪急メンズ東京を訪れた。

AZUはこう読む!

 CKR Kondoさんと私の「こう読む!」連載が始まった理由のひとつでもありますが、同じものでも切り口を変えれば新鮮な発見があります。「建築家ストア探訪」連載もそのひとつ。商業施設を見るとき、私たちはつい商品や接客に注目してしまいますが、店舗設計やコンセプトを俯瞰してみると“館の人格”が見えてくると思っています。

 紙面には「振り切っていない印象を受けた」「今の時代にマッチしているとは思うけれど、強いコンセプトを打ち出すというレベルには到達できなかった」といった辛辣なコメントが並んでいます。きっと聞き手の「WWDジャパン」スタッフは冷や汗だったことでしょう(笑)。私はあまりメンズ館に行ったことがないので、この2館に関して何も言えませんが、「『今の若い子はこういうのが好きなんでしょ?』って言いながら、オジさんがやっている嘘っぽさを感じた」という記事中の言葉に、(他の施設を思い出して)こっそり共感しました。若干の“無理してる感”が伝わってくるとフロア全体のコンセプトがぶれて、「この前のアレってどこで買ったんだっけ?」と思わせてしまうほど、売り場としての存在感が薄くなるのだと思います。記事中には「百貨店なのに、その中の特定のブティックに行く感覚にさせてしまうことは本末転倒」と書いてありますが、まさにその通りですよね。

 偉そうに書きましたが、中高時代は趣味が「放課後の駅ビル徘徊」だったので商業施設は大好きです(笑)。最近はありがたいことに仕事でも関わりがあるので、ただの消費者目線ではなく店頭施策や期間限定イベントの内容、デジタルマーケティングへの取り組みなどを気にして見るようになりました。ということで、店舗デザインに関してデジマ担当から一言。どこも店頭からの館自体へのSNS動線が弱すぎます……!

 先日、リサーチも兼ねて主要な商業施設のインスタグラムアカウント22個を分析し、実際に何店舗か徘徊してみました。インスタグラム自体は各店館のターゲット層にリーチするような投稿内容で面白いのですが、残念なのは店頭にアカウント情報がほぼ掲示されていないこと。フォローキャンペーンなどでPOPがレジ横に置いてあったりはしますが、常時あるようなものは見当たらず館内の冊子にすら記載がなかったり、店頭で館のアカウントを知るきっかけがほぼ無い状態でした。

 (きっと外部に委託して高いお金をかけて……)せっかく綺麗に作り込んでいるインスタグラムアカウントも、お客さんに知ってもらえなければ意味がありません。前回のECの話にもつながりますが、「それ、なんのためにやってるんですか?店頭への送客ですか?ブランディングですか?」と聞きたくなります(高頻度で投稿できているだけでも素晴らしいのですが)。SNSは新客獲得のみならず、来館客をさらにもてなすためにも活用すべきなので、館内からのフォロー動線は各店もっと厚くした方が良いはずなんです。

 SNSで発信すべきはテナントの情報だけではなく、店舗空間で感じるようなフロアコンセプトを体現した“館の人格”なのだと、リサーチをして感じました。それがはっきりしているところはSNSも面白く、「こんな人が訪れるんだ」と想像しやすい。表面的でも「この人なんか良いな」と思ったらもっとその人自身を知りたくなるのと同じで、“館の人格”がなんとなくわかると「次は何を見せてくれるかな?」と自然に館内を回遊したくなってきます。特定の店ではなく館全体に魅力を感じて来てもらうには、店舗、デジタルの両軸で“館の人格”をいかに上手く伝えるかが鍵になるのではないでしょうか。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

疾走するアシックス 5年間で売上高1.8倍の理由

「WWDJAPAN」11月4日号は、アシックスを特集します。2024年度の売上高はコロナ前の19年度と比べて約1.8倍の見通し。時価総額も2兆円を突破して、まさに疾走という言葉がぴったりの好業績です。売上高の8割以上を海外で稼ぐグローバル企業の同社は、主力であるランニングシューズに加えて、近年はファッションスニーカーの「オニツカタイガー」、“ゲルカヤノ14”が爆発的ヒットを記録したスポーツスタイル…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。