ヤマツゥ(東京、山本宏之社長)は、デニムブランド「セブン フォー オール マンカインド(SEVEN FOR ALL MANKIND以下、セブン)」の日本における独占輸入販売権を8月1日に取得した。2020年春夏から卸販売を行う。「セブン」は00年代初頭の“プレミアムジーンズ”ブームをけん引したブランドの一つで、日本ではかつてカイタックインターナショナルやアーバンホリックなどが代理店を務め、その後VFコーポレーション(VF CORPORATION、以下VF)が買収してジャパン社を設立したが、ブーム鎮静後の11年に日本市場から撤退していた。
同ブランドは00年にロサンゼルスでスタートし、16年にイスラエルのデルタ・ガリル・インダストリーズ(DELTA GALIL INDUSTRIES以下、デルタ)がVFから買収した。直営店をアメリカとカナダに46店舗、EMEA(欧州と中東、アフリカ)に37 店舗、中国に12 店舗運営し、19年中にアメリカとカナダにさらに6 店舗、EMEAに25 店舗をオープンする予定だ。
ブランド設立20周年にあたる20年春夏からは、グローバル・クリエイティブ・ディレクターにサイモン・スパー(Simon Spurr)を起用する。スパー=グローバル・クリエイティブディレクターは英国人でニューヨーク在住。「ラルフ ローレン パープル レーベル(RALPH LAUREN PURPLE LABEL)」や「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」などでキャリアを積み、06 年にパートナーとともに「サイモンスパー」をスタートさせた。
「セブン」にとってデニムウエアは売り上げの85%を占める主力製品であり、山本宏之ヤマツゥ社長は「日本市場では8年間のブランクがあり、『セブン』を知る人は若くても36歳前後。当時を知るファンにフレアシルエットの定番“ドージョ”(2万6000円)でアプローチする一方で、新客には日本人の体形にもフィットするアンクル丈の新作“ハイウエストスリムキック”(2万4000円)を打ち出す」と話す。
平均単価はウィメンズが2万円台、メンズが3万円台で、グローバルの男女売り上げ比は3:7。ヤマツゥは現状ウィメンズのみを扱うが、「百貨店やセレクトショップに向けてメンズも提案する」という。世界中で直営店を続々オープンしているが、「日本市場においては、まずは復活が最優先課題。デルタも理解を示してくれており、直営店オープンが必須ではない」と答えた。ジーンズ業界に逆風が吹いていることについては、「確かに停滞している。でも、それは市場に面白いものがないからでは?『セブン』は世界的にも元気なブランドだ。その魅力を正しく伝えることがディストリビューターの務めであり、責任をもって臨む」とした。
ヤマツゥは、かつて“ジーンズの神様”ことアドリアーノ・ゴールドシュミット(Adriano Goldschmied)が手掛ける「ゴールドサイン(GOLDSIGN)」や、“プレミアムジーンズ”ブランドの「シチズンズ・オブ・ヒューマニティ(CITIZENS OF HUMANITY)」などを手掛けていた。山本社長は「あらためてジーンズにテコ入れしたい」と言い、「セブン」の初年度売り上げとして1億円を目指す。