1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャーに勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきを添えます。
今日のニュース「三陽商会が相次ぎ新事業『発信力』で黒字に大手」
読み解きポイント「その『発信力』は瞬間風速的なもの?」
ニュースのポイント
4期ぶりの黒字化に挑む三陽商会は2019年下期、発信力に重きを置いた2つの新規事業を打ち出し攻勢に転じる。第一弾として20〜30代女性をターゲットにした新ブランド「キャスト:(CAST:)」を立ち上げた。同ブランドでは3人の女性像を立てターゲットを具体化し、3ラインに分けて展開することで発信力を高めていく。ファーストシーズンは女優の飯豊まりえ、モデルのemma、歌手の佐藤千亜妃がその3人を演じるオンライン映画を製作し、映画を見ながらECで衣装が買える「シネマコマース」を展開している。
AZUはこう読む!
SNSを見渡すと若干懐疑的な意見が多かった「キャスト:」の「シネマコマース」という取り組み。確かに「映画見ながら服買いたくなる?」「ECを開いたら映画に集中できない」などには少し同意しますが、記事にもある通りこのブランドの狙いは映画ではなく「発信力」。マイナスな意見であれ、こうして話題にのぼることが「シネマコマース」の一つの目的であり、ある程度は狙っていた反応だったのかなと思います。
実際、ファーストシーズンのテーマが「着る映画」ということで映画が制作されましたが、今後「シネマコマース」を継続するかは未定とのこと。せっかく登場人物ごとのSNSアカウントも開設しているのでもったいないなと思いつつ、OL /パティシエ/シンガーソングライターという3人のペルソナは踏襲されていくようなので、今回の女優さんたちに代わりバーチャルインフルエンサーが登場したら面白いなと思いました。でもさすがに盛り込み過ぎかな……?
情報の新陳代謝が早すぎるこの時代、生き残るカギは「いかに継続して、話題にしてもらうか」。「キャスト:」の発信力が「シネマコマース」による瞬間風速的なものだったかどうかはPRや商品次第ですが、実際に渋谷の路面店で商品を見たとき素直に「欲しい」と思ったので、個人的には今後の展開を楽しみに見ていきたいと思います。
以下余談ですが、「キャスト:」のターゲット層である私は「人生という物語を、演じるための服」というブランドコンセプトを聞いたとき、しっかりトキメキました。平日は仕事に夢中な自分を演じているし、旧友に合えば殻を破った自分を演じるし、一人でいるときですら多分何かを演じている。「演じる」はマイナスな表現かもしれないけれど、私たち世代にとっては普通のことだと思うんです。「個性」「個性」と言われ続けてきて、見つけた最適解が「自分が一人である必要はない」ということ。数いる自分を「演じるための服」は、確かに必要なのです。