ジーユーは、消費者の声を生かした商品開発プロジェクト「ジーユー シューズ ラボ(GU SHOES LAB)」を2019-20年秋冬物から開始した。客の隠れた不満をすくい取り、改良を重ねて、かつ低価格で提供することによって顧客満足を高める。靴からスタートした後、インナーなど他のアイテムにも取り組みを広げる。
18年8月に発売し、累計170万足を売った“マシュマロパンプス”の商品開発プロセスにヒントを得た。
17年春に形の美しさを売り物にしたパンプスを発売した。自信作だったが、約6000人にアンケートしたところ「サイズが合わない」「痛い」といった意見が多く寄せられた。検証すると、婦人靴業界で広く採用されている足長(そくちょう、つま先からかかとまでの長さ)と足幅の基準サイズは、多くの女性に合わないことが分かった。生産部の熊井均氏は「基準サイズのMを買っている100人の足を計測すると、実際にそのMがぴったりのお客さまは6〜7人しかいなかった。調査結果にがく然とした」と振り返る。
このデータをもとに開発した“マシュマロパンプス”は、低反発と高反発のクッション材を組み合わせることで、「靴の方が足に合わせてくるような感覚の履き心地を楽しめる」(土上洋佑グッズチームリーダー)という。2490円という低価格で美しいシルエットと履き心地を両立させたことで、数万足でヒットといわれるパンプスで異例の売れ行きをみせた。この経験からあらためて潜在的な声を拾う重要性を認識したという。
百貨店や専門店ではシューフィッターがいて、最適なサイズを提案するだけでなく、中敷などを用いて微調整する。客の声を接客で拾う。そこまで密な接客ができない「ジーユー(GU)」の店頭では、幅広い客を満足させる合理的な商品が求められる。
「ジーユー シューズ ラボ」の第1弾では“マシュマロパンプス”の新作のほか、スニーカーやメンズドレスシューズなど29型を専用ラインとして販売する。数千万人に達する同社のモバイル会員などからアンケートを募り、随時改良を重ねる。