こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向(むこう)です。先週会った人、見たもの、食べたものを記録してゆく日記形式の連載を先月から始めました。先週はギョーカイが夏休みモードでイベントはほぼなく、セミナー受講など勉強ウイークでした。週末には映画「天気の子」を鑑賞。RADWIMPSが歌う「愛にできることはまだあるかい」の一言が全てを語る、胸をえぐられる強烈に深い話でした。
8月1日(木)
ほどよくコンサバなバッグがこちら
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弊社から徒歩10数分の八木通商のオフィスへ。リブランディングした「J&M デヴィッドソン(J&M DAVIDSON)」のバッグを見てきました。ケイティ・ヒリヤー(Katie Hillier)がクリエイティブ・ディレクターに就任してからの「J&M デヴィッドソン」は、フツウより少し長いフリンジ、フツウより少し小さいスタッズなど、ほどよくコンサバかつフツウじゃないデザインが絶妙です。バッグのデザインは機能面がより重要である、レザーを多く使うという理由からプロダクトデザインに近いと言えるでしょう。だからデザイナーに求められる知識や発想が洋服とは少し異なり、活躍しているデザイナーの数も多くありません。ケイティは間違いなく活躍しているデザイナーのひとりです。そしてマーケティング&コミュニケーションの坂巻文香さんは今日も笑顔でした。
8月1日(木)
廃棄在庫問題について考える
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「For Fashion Future」と題したトークイベントに出席しました。アダストリアが音頭を取り、「廃棄在庫問題=衣服ロス問題について考え、課題解決に向けて取り組む」プロジェクトです。最近話題の本「2030年アパレルの未来」の著者であるローランド・ベルガーの福田稔さんをはじめ、7人が登壇しました。お題は、第1部「“買わない”ファッションの可能性」、第2部「利益追求型ビジネスのその先へ。循環型ファッションの可能性」、第3部「10年後のファッションの満足はこう変わる。テクノロジーが、ファッション業界にもたらすもの」……。おもしろそうでしょ?
廃棄在庫問題を“おもしろそう”と表現するのは、能天気かもしれません。ただ、このファッションビジネスと地球の大ピンチをチャンスに変えようとしている行動には夢と未来があるし、やはりおもしろい。サステイナビリティーの話でいつも思うのは、「補完し合う」ことの大切さです。知識も仕組みも、一気に完成することなどあり得ず、「こうあるべきなんじゃないか」と考えて行動する人たちが手持ちの駒をオープンにして知恵を補完し合い、永遠に終わらないパズルを作り上げてゆく“しか”ないですよね。それをあらためて考えさせられる場であり、パズルをつなげるのが仕事であるメディアこそ行動せねば、と思った次第です。
8月2日(金)
ウールの奥深さを学ぶ
私このたび、若手デザイナーの登竜門「2020 インターナショナル・ウールマーク・プライズ」の審議会のメンバーになりました。責任重大。ビジョンを持って臨む若手デザイナーたちの仕事と向き合うには、ウールについてもっと勉強しなくちゃ。せっかくだからこの機会に弊社スタッフも……と思い、日本のウールマークさんにセミナーを開いてもらいました。
勉強になるわ~、の1時間半。最も印象的だったのは、ウールという素材の機能です。しかも、いろいろ矛盾を内包しているのですね。吸湿性があるから色が染まりやすいけど、細かな水分ははじくから汚れにくくて、さらに燃えにくい(ちなみに、阪急電車のシートはモヘヤだそう)などなど。この複雑な機能は天然繊維ならでは、なのでしょう。
その場で、スケールという言葉を覚えました。毛の表皮のウロコのことです。ドライヤーのCMなどで見る、“キューティクルが閉じるとサラサラ~”なあれと近いかと。ウールのスケールが開閉することでさまざまな機能が生まれ、この世の矛盾に“毛”が自ら対応してくれるそうです(ざっくり)。ウールという馴染み深い素材の奥深さとサステナビリティーの可能性を学んだ時間でした。
8月6日(火)
ナノ・ユニバースのトイレがきれい!
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9月に予定しているセレクトショップ特集のため、連日セレクトショップのリーダーたちを取材しております。今日はナノ・ユニバースで濱田博人社長はじめ各部門長の皆さんに話を聞きました。その内容は特集で読んでいただくとして、注目は3月にオープンした同社の新社屋、の中でもテラスとトイレ!の中でも床のタイル!です。ショールームや事務スペースもきれいですが、洗面所のタイルや取っ手など細部までこだわっているところがいい!すごくいい!上階のフリースペースは多目的で、「トークイベントなどいろいろな人に使ってほしい」そうですよ。
8月6日(火)
古き良き代官山のフレンチへ
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とある商業施設を手掛ける方と代官山の一軒家フレンチレストラン「シェ・リュイ」へ。1975年創業だそうです。“ビギの国”(と勝手に思っています)、代官山の1970~80年代は本当におしゃれな人たちが集まっていたイメージがあります。昼は湘南で遊び、夜は代官山で飲む。そんな面影が感じられる、素敵なお店です。
8月7日(水)
ベイクルーズでたくさん笑う
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セレクトショップ特集の取材で渋谷キャストのベイクルーズグループ本社へ。女性の服を扱うファッション業界ですが、女性の特に管理職として働く女性の姿は驚くほど少なく、それはもう!大きな課題です。その中においてベイクルーズは現時点で女性役員は7人で、店長など管理職の数は2018年9月1日の時点で536人。もちろん、大事なのは数じゃないですよ。でも結果としての数はその企業の姿勢を物語りますよね。服が大好きでそれぞれの職に就きプレーヤーと管理職の両方を経験して思うこと、写真と服への愛情をたっぷり聞きました。
そして翌日は、同社の飲食ビジネスをここまで成長させたリーダーである野田晋作副社長に刺激的な話を聞きました。その野田さんがなぜに窓際で口を開けて写真に収まっているのかは、特集で明らかにします。
ちなみに、渋谷キャストの目の前では新宮下公園&商業施設の工事が着々と進んでいます。すごい迫力です。
8月8日(木)
文化学園大学で服飾史を学ぶ
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9月に計画しているもうひとつの特集「モードってつまるところ何?(仮)」の取材のため、文化学園大学へ。服装学部の北方晴子教授に、服飾の歴史についてレクチャーしていただきました……って壮大な話ですが、それをさすが先生は端的に分かりやすくださいました。新宿の街を見下ろす階段でポートレート撮影中です。そして帰りには同学園内の書店カルチャートキワへ、いつもお世話になっておりますのご挨拶をしました。
来週は夏休みをいただくため、この連載は1週お休みし、次の掲載は8月26日(月)を予定しています。そして「WWDジャパン」の次の発行は8月19日(月)。石の知識も豊富なジュエリー担当記者によるハイジュエリー特集を予定しております。どうぞお楽しみに!