毎日暑い日々が続くとメイクが崩れたり、室外と室内の寒暖差や冷房の効きすぎで肌が乾燥してしまったり体が冷えてしまったりと、夏はイベントや行事もあって楽しくもありますが、美容にとっては何かとハードな季節でもありますね。自分自身も冷房による冷え(特に露出している足首から冷えます)や肌の乾燥が年々気になっています。
会話の流れで、隣の席の同僚が手に持っていた本「女医が教える、やってはいけない美容法33:実は老化を加速!」(小学館)を私に紹介してくれたのですが、最初は「ふーん」という軽い気持ちでパラパラとめくっていたものの、良いと思っていた美容法がことごとくNG(苦笑)。特に気になる項目を読み、気づいたらあっという間に読み終えていました。時間や労力、お金をかけてよかれと思って(必死で?)やっていたことが逆効果だったとしたら、なんと悲しいことでしょう。
情報が溢れているので何を取捨選択してよいのか正直難しいですよね。著者の慶田朋子医学博士/銀座ケイスキンクリニック院長もあとがきで「食事などの生活習慣やスキンケアなどのお手入れには、情報の取捨選択が欠かせません。皮膚科学、栄養学、運動生理学などの正しい知識があれば、おのずとするべきこと、すべきではないことを選別できるでしょう」と書いています。「やってはいけない」ことの一例を紹介すると、「毎日コロコロローラーでたるみ加速」。このタイトルにはドキっとしました。実は3カ月前から遅ればせながらコロコロローラーを購入し、熱心に朝晩顔をコロコロしていたからです(笑)。
慶田医師によると、「コロコロローラーのやりすぎは私が全力で止めたい残念な美容習慣のひとつ」だそうで(!)、加齢によってただでさえ弱くなったコラーゲン線維がいじめられ伸びたり切れたりしてしまい、やればやるほどたるみを加速させてしまうそうです。なんともおそろしいことですが、マッサージローラーは血流やリンパの流れを促す働きがあるため、顔のむくみは解消してくれるとのこと。朝起きてむくんでいるときなどに軽くコロコロと短時間、週2回くらいが限度だそうです。せっかく購入したので、全く無駄にはならなそうで良かったです。このほかにも「スクラブ洗顔で乾燥肌が悪化」「クレンジングマッサージできめ崩壊」「夜の丁寧スキンケアで不眠汚肌」「化粧水100回パッティングで敏感肌に」など、読み飛ばせない項目ばかりです。
こんな風にこの本ではやってはいけない33の事例を紹介していますが、あとがきを読むと「女性が精神的に自立し、自信を持って生きる、それをサポートし寄り添いたい」という考えが伝わってきます。慶田医師は、写真を拝見するととても美しいのですが、小児期からアトピー性皮膚炎に悩み、思春期は湿疹で顔が赤くなり、高校生ではニキビが混ざり肌を見られるのが嫌でうつむいて歩いていた時期があったそうです。
皮膚病や肌老化は内臓疾患と異なり、目に見えてしまう。一般的には軽視されがちな“見た目”が損なわれるとQOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)が低下し、自信をなくし、社会活動への意欲まで失われてしまうことを自分自身の経験や診療を通して実感してきたとのことです。
最近、医療界で重要視されているのが“Beauty QOL” だそうです。「自分の外見に満足できる自分でいると自己評価が上がり、気分が上向きになります」と慶田医師。「そうなんだ、そんな前向きな気持ちになりたくて、私もこの事例にあるようなやってはいけないことも含め、いろんなことを試してきたんだ」と、とても納得したのでした。そんなことにあらためて気付かされる一冊でした。同じ努力なら、正しい方向で努力したいですね。やってはいけない項目にドキっとした方は、ぜひ手に取ってみてください。