1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャーに勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきを添えます。
今日のニュース「『#KuToo』問題をファッションローの観点から考える」
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読み解きポイント「良い・悪いではなく、“選択肢を増やす”運動」
ニュースのポイント
毎月第1週の連載「ファッションロー相談所」。今月のテーマは議論続く「#KuToo」問題について。職場でのパンプス・ヒール靴着用の強制に異議を唱えるために生まれたハッシュタグだが、SNSで大きなムーブメントとなり、6月にはこの活動に賛同する1万8000人の署名が厚生労働省へ提出された。パンプスを職場で強制することは法的にどんな問題があるのか、海老澤美幸弁護士に聞いた。
Azuはこう読む!
キャリアの初めからファッション業界のベンチャー企業にいる私は、この問題に直面してきませんでした。職場でヒールを強要されたことはないし、「女性だから」と身なりに関して指示された覚えもありません(もしかしたら、私が相当鈍感なだけかもしれませんが)。周りにいるベンチャー企業の女子たちを見ても、そういった制約を受けている子は見当たりません。でも、問題は自分を取り巻く環境ではなく、「#KuToo」が生まれる現実があるということ。「隣の世界の話」にしてはいけないのです。
SNSの呟きが発端となり火がついたこの話題は、同じくSNSによってさまざまな誤解が生まれ、論点のずれた議論がなされてきました。記事中、海老澤弁護士は「この運動は“選択肢を増やす”運動」と語っています。私も、まさにその通りだと思っています。ヒールはダメ/フラットは良いという二元論ではなく、環境に応じて自分がベストだと思う選択ができることが望ましいはず。今回は「女性が性別を理由にヒールを強要されること」に対して声が上がりましたが、「女性だから」という話ではなく、本来あるはずの選択の自由を“不可避な条件”によって奪われてしまうことが問題なのだと思います。
「#KuToo」運動があってから、スニーカーを制服に採用したり、フラットシューズを着用可にしたり、各社でさまざまな意識変化が見られます。これを「靴の問題」として終わらせないためには、いまある規則に対して「なんで決められているんだっけ?」と問い直す(ちょっとめんどくさい)姿勢が必要なのだなと、私自身襟を正しました。ちなみに私自身は滑って骨折したことが理由でスニーカー恐怖症なので、歩きやすい靴が苦手です(笑)。
Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne