新たなファッションコンペティション「ビッグ デザイン アワード(big design award)」の第1回授賞式が8月10日、ワールド北青山ビルで開催され、大賞にアイルランド出身のメンズウエアデザイナーのロビン・リンチ(Robyn Lynch)が選ばれた。リンチは、審査員を務めたファッションデザイナーでアントワープ王立芸術アカデミーのファッション学科の学長であるウォルター・ヴァン・ベイレンドンク(Walter Van Beirendonck)からトロフィーを受け取り、大賞賞金500万円を獲得した。
初代グランプリに選ばれたリンチはアイルランド生まれの27歳。ダブリンでテキスタイルを学んだ後、渡英し「フィービー イングリッシュ(PHOEBE ENGLISH)」「コットワイラー(COTTWEILER)」でインターンシップを経験する。自身のメンズブランド「ロビン リンチ」を立ち上げ、アイルランドの文化を背景に、伝統的なアランセーターをモダンに昇華させて発表している。2020年春夏のロンドン・ファッション・ウイークでは、若手デザイナーによる合同のファッションショー「ファッションイースト(FASHION EAST)」の支援ブランドとしてショーデビューした。19-20年秋冬は日本のオープニングセレモニー(OPENING CEREMONY)でエクスクルーシブで発売するほか、20年春夏からはオープニングセレモニーに加えて、カンナビス(CANNABIS)、ヌビアン(NUBIAN)で販売が決定している。
ウォルター・ヴァン・ベイレンドンクはリンチについて、「コンテンポラリーでありながら、クリエイティブでとてもバランスがいいコレクションだった。自分の背景にあるアイルランドの歴史や伝統をエモーショナルに取り入れながらも、そのコンセプトやデザインも難し過ぎない。メンズファッションに新たな風を吹き込むようなデザイナーだと感じた。映像作品もよくできていて、審査員の意見も満場一致だった」と称賛を送った。
リンチは「現在ロンドンのファッションイーストの支援を受けているが、アワードに応募するのは今回が初めて。『ビッグ デザイン アワード』はインスタグラムで見つけて応募を決めた」と言い、賞金の使い道について「まずは6月に行ったショーのモデルへの支払いと、次のコレクションの生産にも充てたい。今はダブリンをベースにしているが、ロンドンにアトリエを移したいと思っている。そして今後もロンドン・メンズ・ファッション・ウイークに継続的に参加し、コレクションを見せて行きたい」と抱負を語った。
準グランプリに選ばれたインドネシア出身のヘブン・タヌディレジャ(Heaven Tanudiredja)には賞金100万円が、入賞したスウェーデン出身のスティナ・ランスタッド(Stina Randestad)と中国出身のシュティン・キュウ(Shuting Qiu)はそれぞれ賞金50万円が贈られた。
「ビッグ デザイン アワード」は、クラウドファンディングサイト「キャンプファイヤー(CAMPFIRE)」を運営するCAMPFIREの新会社bigが主催するアワード。CAMPFIREと資本提携するワールドなど国内外の企業と協力して、国際的に活躍する可能性を持つ次世代のデザイナーのサポートを目的にしている。第1回の審査員にはウォルターのほか、CAMPFIREの家入一真CEO、「ヌメロ チャイナ(Numero China)」のカートウン・リュン(Karchun Leung)編集長、現代美術家のタカノ綾、複雑系と人工生命の研究者である池上高志、ニック・ナイト(Nick Knight)によるファッションウェブサイト「SHOWstudio」のナオミ・マーティン(Naomi Martin)=コンテンツプロデューサーが務めた。