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「全体の15%の特許権出願を占めるアパレルが守るべきは?」 ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.6「“3本ライン”の商標取り消し アディダスのビジネスに与える影響とは?」

読み解きのポイント「信用保護としての商標権」

ニュースの要約

 「方向性/形を特定しない3本ライン」の商標取り消しを不服として、アディダス(ADIDAS)が異議を申し立て。欧州一般裁判所、欧州連合知的財産庁とも「訴え」を退けた。アディダスは、スニーカーやアウターの袖に用いる3本ラインを含む、その他商標を100以上登録しており、こちらは引き続き保護の対象。「商標登録取り消し」という報道により、3本ラインの商標権を一切行使できなくなったというミスリードも発生。今後の風評が懸念される。

CKRはこう読む

 「15%」 。 2016年度、特許庁に出願された全商標登録のうち、アパレル業界による出願の割合です。非常に多いと思いませんか?サービス、ブランドを大切にする業界であることが分かります。

 知的財産権の一つである商標権が守るものは、ブランド。また「早いもの勝ち」「サービスが存在してなくても出願できてしまう」「どんな領域で利用するかを指定する必要がある」という点も見逃せません。拒絶理由がなければ、商標は登録されることになります。

 つまりサービス名、ロゴマークなど、商標に値するものが生まれた時点で、まず出願。その後、対象サービスの事業準備というケースもあり得るのです。先日、カニエ・ウェスト(Kanye West)による「サンデーサービス(SUNDAY SERVICE):日曜礼拝」という商標出願が、新ブランド立ち上げという憶測を呼んだことは、記憶に新しいですね。

 とはいえ、いったん登録された商標に対して、取り消し請求することは可能です。訴えられた側が、事業での使用実態があることを証明できなかった場合などは、取り消されます。

 すでに100以上、商標登録しているアディダス。「EU全体」「同じ幅の3本平行ラインなら何でも」といった広範囲の商標権を取りにいこうとしたことが、今回の事態を招いたのかもしれません。

 一方、知的財産権の一つである特許権は、「新規性の高いアイデア」を保護するものです。そのため、「部品よりも仕組み全体といった広範囲の権利化」を狙いにいくことが多々あります。

 ブランドを保護する商標権において、大事なことは「信用」です。アイデアを保護する特許権とは違います。「自社やサービスの信用を確保する」という視点に立ったとき、本来取るべき行動は何か。この点は、事前にしっかりシュミレーションする必要がありそうです。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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