大友克洋が1982~90年に「週刊ヤングマガジン」で連載していたマンガ「AKIRA」。その圧倒的な画力とストーリー性で、日本だけではなく世界中で熱狂的なファンを獲得し、88年にはアニメ映画も公開されるなど、日本を代表する作品だ。また「AKIRA」内で“2020年東京オリンピック”が予見されていたことも話題になった。「AKIRA」は19年の“ネオ東京”を舞台にしており、まさに今年は“AKIRAイヤー”ともいえる。そんな記念すべき年に、大の「AKIRA」好きで、Tシャツのコレクターである高橋毅スタイリストのコレクションを紹介してもらった。※Tシャツ画像のキャプションは全て高橋スタイリストによるもの。
WWD:「AKIRA」Tシャツを集めようと思ったきっかけは?
高橋毅(以下、高橋):連載当時から「AKIRA」を読んでいて、その絵の繊細な表現にすごく魅了されていました。ムサビ(武蔵野美術大学)に通い出したころから古着屋で「AKIRA」Tシャツを見つけては購入していましたが、当時は質の悪いブート(ブートレグの略。海賊版の意)もかなり出回っていて、特に知識もなかったのでそれも買っていましたね。後で知って悔しくて捨てましたけど(笑)。
WWD:現在は何枚ほど所有している?
高橋:おそらく40枚ほどです。
WWD:所有しているのは全てオフィシャル?
高橋:オフィシャルだけでなく、ブートもあります。正真正銘のオフィシャルは、「週刊ヤングマガジン」の応募者限定のもので、単行本の表紙がプリントされています。それと数は少ないですが「週刊ヤングマガジン」の懸賞のものもあります。公式にライセンスを取ったものでは「ファッションビクティム(FASHION VICTIM)」製が一番メジャーです。デザインの種類も多くかなり数は出まわっているはずで、いわゆる“「AKIRA」のTシャツといえば”で、よく見かけるものです。「シュプリーム(SUPREME)」のものは、これまでにないイラストのシリーズは買いました。ブートの中では「アナーキックアジャストメント(ANARCHIC ADJUSTMENT)」や「ダブファクトリー(DUB FACTORY)」「グラフィティ(GRAFFITI)」などは、マニアの中ではそのデザイン性や希少性もあってかなり人気となっています。
WWD:そういった人気のものと、質の悪いブートの見極め方は?
高橋:基本はTシャツのタグを見れば分かります。「ファッションビクティム」製はフルーツタグか「ファッションビクティム」の刺しゅうタグで、例外もありますが基本的にそれ以外はブートだと思います。あとは、売っている場所だったり、価格から判断します。ボディーが「ギルダン(GILDAN)」のものはブートの確率が高いですね。
WWD:そういった「AKIRA」Tシャツの情報はどこから入手するのか?
高橋:今はネットでもある程度は調べることができますが、昔は古着屋の店員さんに教えてもらっていました。でも「AKIRA」Tシャツは種類が多くて、いまだに新しいものを発見することもあります。
WWD:どこで購入している?
高橋:古着屋や「ヤフオク!」「メルカリ」です。以前は「AKIRA」Tシャツの人気も今ほど高くなかったので、「ヤフオク!」などでは1万円以下といった比較的手頃な価格で購入できていました。今は物によっては7万〜8万円とか高くなりすぎて、さすがに簡単には手が出せないですね。
WWD:購入したTシャツは実際に着ている?
高橋:がんがん着ます(笑)。鑑賞用ではないので。サイズ的に着ていないものもありますが、今日着ているロンTはお気に入りで、多いと3日に1回ほど着ている。撮影現場でもよく着ていて、スタイリングする人数が多い現場だと顔と名前を覚えてもらうより“「AKIRA」Tシャツの人”と覚えてもらうようにしています(笑)。今年は「AKIRA」イヤーなので、いっぱい「AKIRA」Tシャツを着たいですね。