不動産会社のCBREは、このほど発表した「今後の大阪の不動産市場の行方〜2030年に向けて〜」というリポートで、大阪の商業の中心地であるミナミ(心斎橋や難波など)の近未来を予測した。現在計画されている再開発が実現すれば、目抜き通りである御堂筋の高級ショッピングストリート化がさらに加速するという。
大阪の中心部を南北に貫く御堂筋の心斎橋周辺は、現在も関西一のラグジュアリーブランドの集積エリアだが、昨今の訪日客の急増に伴い、新規出店ニーズが増加している。
大阪市は昨年3月、御堂筋の歩道化構想を発表した。大阪市は25年の大阪万博までに現在の6車線のうち側道2車線を歩道にし、さらに37年には車道を全て歩道に変えるとぶち上げる。パリのシャンゼリゼ通りを意識した世界的なショッピングストリートを目指すという壮大な目標だ。
歩道化はまだ構想段階ではあるが、さらなる高級ショッピングストリート化を促す動きは随所にある。
9月20日に建て替えオープンする大丸心斎橋店本館。建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(William Merrell Vories)による重厚なファサードを再現した低層階は、建て替え前に比べてラグジュアリーブランドが大幅に増える。もともと富裕層相手の外商が強い同店だが、近年はこれに訪日客が加わった。ラグジュアリーブランド目当ての人たちの心斎橋への来訪が増えることは確実だ。
CBREのレポートでは、御堂筋と長堀通りの交差点の「心斎橋プラザビル/心斎橋フジビル」のまだ発表されていない建て替え計画にも言及している。心斎橋プラザビルは本館、新館、東館の3棟で構成されるビルで、本館には「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」、新館には「カルティエ(CARTIER)」、東館には「ディーゼル(DIESEL)」の旗艦店が出店している。心斎橋フジビルはそれらに隣接しており、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS )」が営業する。一体開発が進めば、現在の入居テナントのようなラグジュアリーブランドの集積が一段と進むことになる。
そのすぐそばの御堂筋は21年2月、ラグジュアリーホテル「W OSAKA」が開業する。米マリオット・インターナショナル(MARRIOTT INTERNATIONAL)が運営するWホテルの日本1号店だ。ミナミには、本町のセントレジスホテル大阪、難波のスイスホテル南海大阪くらいしか高級ホテルは営業していない。W OSAKAの開業はミナミへの富裕層の集客に役割を果たし、周辺にさらなる高級店を呼び込むきっかけになる。